封印された遺跡の秘密 二
見逃された真実
手紙の一文『あなたは見逃していた』が、私の心にずっと引っかかっていた。学会での発表以来、私の日常は一変した。誰かに見張られているような感覚が付きまとい、常に緊張を感じていた。しかし、それでも私は真実を追求することをやめなかった。
手紙が届いてから数日後、再び遺跡を訪れる決意を固めた。今回もカメラやノートを持ち、さらに懐中電灯や食料も準備した。遺跡にはまだ何かが隠されているに違いない。私はそう確信していた。
あの丘に到着すると、前回と同じように遺跡の奥へ進んだ。冷たい風が再び私を包み込み、不思議な感覚が広がる。その小さな部屋に着いたとき、私はふと立ち止まった。前回は見逃していたが、部屋の一角に小さな扉があるのを発見した。
その扉は古びていて、まるで開かれるのを拒むかのように固く閉ざされていた。しかし、私は手で押し開けると、そこにはさらに奥へと続く狭い通路が現れた。懐中電灯を点けて進むと、通路の壁にはまたしても見慣れない模様が彫られていた。
奥へ進むにつれ、模様は次第に具体的な図形となり、一つの物語を描いているように感じた。それは、レプタリアンたちが地球に降り立ち、我々の歴史に影響を与えてきた様子を描いていた。さらに進むと、大きな部屋にたどり着いた。その中心には、巨大な石碑が立っていた。
石碑には見覚えのある文字が彫られており、その意味を理解するのに時間はかからなかった。石碑は、レプタリアンたちが自らの存在を隠すために作ったものだった。しかし、その目的はただの隠蔽ではなく、彼らが地球に来た本当の理由が記されていた。
彼らは遥か昔、自らの星が滅びかけていたため、新たな住処を探して地球にやって来た。そして、人類を見守りながら、自らの技術を少しずつ教え、共存の道を模索していたのだ。しかし、彼らの中にも内紛があり、全てのレプタリアンが平和を望んでいたわけではなかった。
その時、私の背後で微かな音がした。振り返ると、一人の男が立っていた。彼は冷静な表情で私を見つめ、ゆっくりと近づいてきた。彼の目には、ただならぬ冷たい光が宿っていた。
「あなたが見つけるとは思わなかった」
彼は言った。声は低く、落ち着いていたが、その言葉には威圧感があった。
「あなたは誰?」
私は尋ねた。
「私は彼らの一人だ。そして、あなたに警告を与えるために来た。これ以上、我々の存在を探ることはやめなさい」
そう彼は続けた。
「なぜ?真実を知ることは重要だと思う。彼らが地球に来た理由を知ることができれば、人類の未来に役立つはずだ」
私は反論した。
彼は一瞬、沈黙した後言った。
「あなたは何かを見逃している。彼らの中にも異なる意見がある。全ての真実が明らかになることが、必ずしも良い結果をもたらすとは限らない」
その言葉に、私は戸惑いを覚えた。確かに、全ての真実が必ずしも平和をもたらすわけではない。しかし、それでも真実を追求することは重要だと思っていた。
「あなたが何を見逃しているのか、もう一度考えてみるといい」
彼は言い残し、静かに去っていった。
彼の言葉に従い、私は再び石碑の前に立ち、その文字をじっくりと読み直した。すると、ある一節が目に留まった。それは、レプタリアンたちが地球に来た理由だけでなく、彼らが再び星に帰るための計画も記されていた。
彼らは、人類が十分に成長し、技術が進歩した時、再び星に帰ることを計画していた。しかし、その計画が実現するためには、人類との協力が必要だった。私はその計画の重要性を理解し、彼らと共存するための道を模索する決意を新たにした。
真実は一つではない。多くの視点から見ることで初めて、本当の意味が見えてくるのだと感じた。そして、私は再び学会に立ち、今回の発見を報告することにした。今回は、彼らとの協力を求めるために。