久しぶりにサンスイを鳴らした
メインのオーディオの電源を久しぶりに投入してみた。ちょっと涼しくなったし。アンプはサンスイのAU-α607 MOS PREMIUM。
MOS-FETとはいえ、トランジスタ系アンプなので、趣味性の高い真空管アンプほど押し出しの強さはないけど、まあ気に入って7年あまり使っている。
それまでのメインアンプは、同じサンスイのAU-α607 DRだった。これよりも音質が良くて消費電力の少ないものを探したのであった。
スピーカーはソニーのSS-A5 La Voce。ま、昔のベストバイ。アコースティック音源を聴くことが多いもんでね。
アンプも含めてもちろん中古。うちにある機器は大半中古で、新品で買って現在も残っているのはAU-α607 DRぐらいしかない。
ふだん聞いているPCオーディオは、ステレオ誌付録のラックスマンのDACとケンウッドのKA-S10。最初からPCオーディオ用で考えられた小型アンプ。このシステムのスピーカーはマランツの小型密閉2wayのLS-5Aにオンキョーのサブウーファー1台を加えてある。
サブウーファーは音楽を聴くときよりも、YouTubeの飛行機コックピット動画を見るときなんかに使う。所詮2.1チャンネルなんだけどね。
さすがにメインオーディオはゆったりと聴ける。エネルギー感も全然違うし、解像度も少なくともひとクラスは上だ。
オーディオはもちろん聴覚的であるので、どういう風に聞こえているかを表現するのは、これまた「言葉」という聴覚の産物でやや抽象的に表現するほかない。
透明感とか、音像の彫りの深さとか、いったいどういうことなんだそれはみたいな言い回しがよく出てくるが、セッティングやケーブルで多少工夫したことのある自分としては、確かにそういう感覚があるということを認めざるを得ない。
オーディオでよく言われるのは「原音の忠実な再生」であるが、少し楽器をかじった自分が生意気に言わせてもらうなら、「原音」がいつもそこまで素晴らしいとは限らない。よほど空間とかの環境が整わないと、楽器の音だって必ずしもハイファイには聞こえない。
自分的には、「原音再生」ではなくて、欧米でしばしば言われるらしい考え方、「グッド・リプロダクション」のほうずっとしっくり来る。
たいがいのオーディオの音は、ふつうの部屋で演奏している楽器の音よりも美しいのだ。演奏のリアリティを失わせるようなものだとすればそれは違うだろうが、即物的な音響よりも美しい音響を目指すほうが自分は好みだ。
小説だって、実際には「グッド・リプロダクション」なのであって、現実をそのままではなく、想像力のフィルターを通すことで現実とは次元の違う世界を創り出す。
同様に、オーディオも一種の虚構であっていいと自分は思っている。虚構だからこそできることがあるのだから。ただ不思議なことに、バックとヴォーカルがそれぞれ別々に録音する歌ものよりも、セッションで同時にやり切る録音のほうが明らかに緊張感や臨場感はある。
おかしなことに、オーディオは空気感を伝えるものでもあるらしい。