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市民音楽祭に行って来た

10月27日(日)、かみさんと一緒に駅前の市民文化会館で開催された市民音楽祭に足を運んだ。全18団体が出演する音楽祭で、女声合唱、混声合唱などが多いが、リコーダーや弦楽合奏などの器楽団体も少なからず登場する。

開場は12:30。少し離れたところにある有料駐車場に車を停めたのがちょうどその頃で、なんとか13:00の開演にギリギリ間に合った。大ホールだったのだが、1階客席への入り口が分かりづらく、中に入ったらちょうど最初の団体が演奏を開始する直前であった。

各団体とも持ち時間は約15分くらいのようで、平均すると2曲から3曲を演奏するようになっている。

2番目に登場した女声合唱のグループは最後の曲に『翼をください』を歌った。この曲はふつうは明るいフォークソングと捉えられているのだけれど、どういうわけかそのときは、二年前に半年間の闘病の末に亡くなった友人のことが思い出されて、ちょっと涙腺が怪しくなってしまった。女声合唱で、もう還暦を過ぎた自分が聴くと、この歌は人を送る歌のようにも聞こえるのだ。

今回のリサイタルの最大のお目当てであるリコーダーの会は6番目の登場。実は私もかみさんも7月まではこの会の末席に所属していて、本来ならステージに上がるべく暑い夏の間も練習にいそしまなければならなかったのであるが、諸事情あって退会してしまった。

なので多少切ない思いを抱えながら、準備の始まったステージを眺めやる。
双眼鏡を持参しているので、このあいだまで一緒に練習してきた仲間の顔もよく拝める。

準備が終わり、全員着座して正面を向くと照明が切り替わって演奏の開始である。メンバーは6名。アルトリコーダーとギターが主体だが、曲によっては、部分的にメンバーのうちリーダーが、ソプラノリコーダーやソプラニーノリコーダーに持ち替えるし、また別の人がテナーリコーダーに持ち替える場合がある。

1曲目は、われわれ夫婦も一時期懸命に練習していた「パッヘルベルのカノン」。バロックの古典的名曲であり、リコーダーでもよく奏される曲だ。この曲は昨年からずっと練習の対象で、繰り返し繰り返し毎週金曜日の練習では取り上げられた。音域が広いこともあって、やわらかな曲の印象とはまた少し異なって、演奏は難しい。

しかし見事に仕上がった演奏だった。われわれは感動のうちに拍手した。われわれがいなくなってから、さらに演奏には磨きがかかっていたのだった。

2曲目は「宇宙戦艦ヤマト」。勢いのある曲想をリコーダーの音色に乗せるのはやや難しい曲とも言えるが、これも自分たちがいたときよりも進化していた。私が担当するはずであったテナーを、本来バスを吹くはずであった先輩が吹かれているのを見て、実に申し訳なく思ったのであった。

3曲目は、女声独唱の入った「ピアチェル・ダモール」。これも声楽の名曲である。リコーダーとギターと独唱というのは、演奏様式としては比較的珍しいのかもしれないが、本来室内楽を主体とした楽器であるリコーダーには独唱はよく似合うのである。それまでは声楽は合唱ばかりであったためか、独唱が始まった瞬間、客席がしんと静まり返ったような印象があった。非常に音楽性の高い演奏を楽しむことができた。

リコーダーの会のあとも三つほどの団体が演奏をし、休憩を挟んで後半の部の最初は、クロマハープの団体だった。3曲演奏された中で、レノン=マッカートニーの「オブラディ・オブラダ」が楽器の独特の響きにいちばん合っていたような印象だった。

またリコーダーの会のメンバーから、御三方が、指揮とソプラノとバスで参加した混声合唱団の演奏も独特の勢いがあって良かった。きれのあるダイナミックな音楽性という感じがした。混声合唱のことはよく分からないのだけれど、比較的前のほうの席で聴いたためか、一人一人の声が聴こえてくるような雰囲気だった。私などはリコーダーだけでも手に余る感じなのに、合唱の指揮や、ソプラノやバスまでやられるのは凄いと思う。

ほかにも混声合唱や女声合唱、弦楽合奏等で素晴らしい演奏がいくつかあったけれど、個人的には、弦楽合奏によるドボシャックの「母が教えてくれた歌」が心に残った。

演奏のトリを飾るのは、今回の第20回音楽祭の記念に特別編成された合唱団で、伴奏は某高音楽部の器楽合奏。これに特別出演のオーボエ奏者とトランペット奏者が加わり、スケールの大きな演奏になった。ヘンデルの「ハレルヤ」はまさに祝祭的気分に満ちたものとなった。

かみさんはこの特別編成で演奏されたモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」と「ハレルヤ」の両方とも、学生時代に授業で歌った曲であったので、懐かしさも加わり、感動もひときわだったようだ。

閉幕のあと、リコーダーの会の仲間を探してロビーやホールの周りをうろついていたところ、ロビーと外の街路と楽屋口でかつてのお仲間たちとお会いでき、賛辞の言葉をお送りできたことが良かったのであった。




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白鳥和也/自転車文学研究室
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