「鳥」みたいな出来事
ヒッチコックの『鳥』みたいな状況に遭遇したことがある。
あれももう40年ぐらい前のことになるな。
当時私は学生だった。
住んでいた街には、別の大学があり、よくそこの学食などを利用させてもらっていた。
あるとき、構内のいつもは行かないエリアに足を伸ばした。
たぶん散歩のつもりだったと思う。
そうして木立ちの間を歩いていたら、突然耳元に鳥が突っ込んでくる気配がした。
いや、最初は鳥だかなんだか分からず、ともかく何者かの襲撃を受けたという感じで、わっと驚いた。
すぐにそれが鳥であることがわかった。
尻尾の長い鳥であった。
あとで行きつけのカフェでその話をしたところ、「それはたぶんオナガだよ。オナガは気が荒いからね」ということであった。
それ以来、自分がその木立ちに近付くことはなかったから、オナガの威嚇は確かに功を奏したのであった。
巣か縄張りを守ろうとしていたのかもしれない。
おかしなもので、あれから40年も経った今、近くの松林に鳥見(バードウォッチング)でオナガの姿を追っている。
そのあたりに生息していると言われているからだ。
だがまだ、オナガには出会えてはいない。
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