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本栖湖キャンプ場GWリベンジ
前回の記事で2024年5月連休に、混雑や渋滞のために本栖湖キャンプ場に行けなかったことは書いた。そのリベンジを翌週末にやってきた。その顛末を記す。
5/11(土)の15時過ぎに道具や食料をしこたま積んだ、わが家の中古小型キャンピングカー/ピクニック・ゲリラ号で家を後にした。買い物を少々と給油・タイヤ空気圧調整を済ませて高速に乗ったのは16時頃。
新東名新富士ICで高速を降りて、一路国道139号を北上する。天気は悪くない。富士山目当てにキャンプに行くわけではないが、霊峰はあらかた見えている。途中またコンビニに寄り、簡単に済ますであろう夕食の材料などを買い込む。薪もここで買った。近所にキャンプ場がいくつかあるせいか、コンビニで薪を売っているのだ。買ったのは針葉樹。
渋滞で有名な富士芝桜高原のところもスムーズに通り過ぎる。ま、グーグルマップで渋滞がないことを確認しておいてはあるのだが。個人的には、あまり品が良いとは言えない原色であふれた観光花壇には関心が薄い。
本栖湖キャンプ場に辿り着いたら、ほぼ18時。受付はすでに閉まっているので翌朝払うことにして、場内に場所を探すが、かなりの混雑だ。連休直後の土曜日なので無理もないか。
目当ての一等地は当然のごとく先客であふれていた。スローで場内を左回りに流してゆく。どこも空いていない。結局、キャンプ場に入ってくるときに目についた場所にそろそろと入り込む。
万が一の倒木の可能性があるやもしれぬ老木を避けて、車の位置を決め、隣の先客に挨拶に行く。やや距離が近接していることもあるが、距離を取ろうとするとあまり樹勢の良くない木の間際に車を置かなくてはならないためだ。
とりあえずテーブルと椅子と焚火台を出して設営する。寒い。県境を越えてくるときに16℃くらいだった。フリースとコートを着込む。なんせ標高900mくらいあるので、山の上と同じなのだ。なめてかかってはいけない。
寒いから焚火が恋しい。きょうは久しぶりにそれらしい焚火台を持参している。スノーピークの焚火台Mだ。もう手に入れてから20年近く経っているが、薪の油分や煤などの汚れがついているほかはどこも傷んでいない。一生物である。この頃は自分もスノーピークのファンだった。
さて今回は薪を使うということで、鉈(なた)と薪割台(厚い30×30cmぐらいの板)と革手袋を持参してきている。暗くなってからだと迷惑になるので、早速薪割りの準備をした。そして景気よく薪を割っていったと書きたいところであるのだが、実際にはうまく行かなかった。
ちゃんと薪を台に立てて、木目を見ながら鉈の刃を薪の上に置き、別の薪でもって刃の背の部分を叩いたのだが、古い鉈ということもあってか、刃が2mm程度しか薪に食い込んでいかない。針葉樹だし柔らかいはずなのだが、うまく行かないのである。薪を換えてみても同じだった。
怪我をしてからでは遅いので、早々に薪を割ることは諦め、やや太いがそのまま薪を燃やすことにした。焚き付けは新聞紙とそこいらに落ちている小枝。かみさんにも手伝ってもらい、小枝を集める。大半はアカマツの枝なので火の回りが早い。真っ暗になる前に薪に点火しなくてはならぬ。
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無事点火することはできたが、なかなかに風が強い。あまりたくさん一度に燃やさないほうが良さそうだ。暖もとれたところで腹が減ってきたが、もう暗くなっているので、夕食は簡単に済ますことにし、コンビニで買って来たカレーメシを取り出す。湯を注いで5分待ち、無駄なくらいかき回してから食す。
ランタンは先日中古で入手したSOTOの「虫の寄らないランタン」である。気温はやや低めだが、いつものイワタニCB缶で点灯することができた。やっぱり発光点の位置が高いとテーブルの上のものも扱いやすい。
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そのうちにどんどん寒くなってきて、隣のパーティは車の中に入ってしまった。うちも適当なところで切り上げ、車内に入って就寝の準備をする。遠くのほうで賑やかなパーティがおり、騒音が少々あるが、やがてそれも止んでしまった。その頃には風も収まった。星が出るのを期待していたが、雲の切れ間から少し見えただけだった。
翌朝、5/12(日)は6時前に起きた。寒い。昨晩寝る前にシャツはフリース素材のものに着替えており、その上にまたフリースとコートを着込んでほとんど冬の身支度だが、それでちょうど良いくらいだった。温度計を見たら13℃。昔バス釣りに夢中になっていた頃に買った水温計が、いまや寒暖計として使われているのであった。
かみさんが起き出してくる前に焚火を用意しておこうと、まずは小枝で種火を作る。ネイチャーストーブのようで気分がいい。森の中のキャンプ場は倒木や落ちてくる枝などに注意しなくてはならないが、小枝を拾って燃やせるのがなかなかの愉しみなのだ。
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薪に火がついたところで、コーヒーを沸かす。旨い。そのうちにかみさんも起きてきて、朝食の支度をする。メインはバゲットをトーストしたオープンサンドだ。それにみそ汁とサラダ。
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キャンプ2日目の朝は、たいがいバゲットのトーストなのだ。たまに食パンを買っていくときもあるが、小さなトースターで小分けにして焼くことのできるバゲットを使うことが多い。
上に乗せるのは、オイルサーディンとコンビーフのコンボ。塩と黒コショウを振るとなお旨い。ガーリックも持ってくればさらに良かった。
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朝食を食べ終わってからは、また焚火の世話。肌寒いし、ちょうどいい。以前は一度火がつけば消えにくい炭を使うことが多かったが、薪は薪で炎の変化を愉しむ魅力がある。
そのうちにかみさんが騒ぎ始めたのでなんだと思ったら、近くに出没していたシジュウカラが、アカマツの老木の割れ目に巣を作ってそこに出入りしてみる。どれどれ、と近づいてみれば、本当にそうだった。
つがいで洞の中にいると思われる幼鳥の世話をしているらしい。どちらかが巣に餌を運び、どちらかが梢で警戒している。巣の入り口はほとんど目の高さなので、双眼鏡を使うまでもなく観察できる。
見ていると、緑色の小さな芋虫を親鳥が運んできた。せっせと子育ての真っ最中なのである。よくよく考えたら、そういう光景を目の前で見るのは初めてであった。「自然のアルバム」のようなテレビ番組でよくやっているのは何度も何度も見ているが、肉眼で見たのは初めての経験であった。
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じきに昨日買った薪を燃やし尽したので、またかみさんと二人で落ちている小枝や松ぼっくりを拾い集めて燃やす。けっこう湿っているんじゃないかと思われる小枝も火にくべれば、案外ほどなく燃え始める。
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昼前くらいになると、明日は月曜だということもあって、混雑していたキャンプ場内がどんどん空き始めた。チェックアウト時間は正午なので、昼メシを食べずに撤収していくパーティが多い。われわれが設営しているエリアには4パーティが陣取っていたが、昼前にはとうとうわれわれだけになってしまった。
そこで就寝モードにしてあったピクニック・ゲリラ号を走行できる状態にして、15mほど移動した。そっちのほうが少し高台になっていて、大きく水がたまる恐れもなさそうだったからだ。車の位置決めが完了してから、テーブルと椅子と焚火台を移動した。
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朝が早かったので、腹が減るのも早い。昼食の支度を始めた。昼はパスタだ。縦型ケトル代わりに使っている大型パーコレーターを使って、パスタを茹でる。湯にはオリーブオイルと塩を加える。
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気温が低いのと標高が高いのとで、加えて風でバーナーの炎が揺れることもあって、5分茹でればいいはずのパスタが、7分茹でてちょうどアルデンテになったくらいだった。
午後は静かに過ごした。件のシジュウカラのほか、カワラヒワなどもサイト周辺に現れた。売店に行き、迷っていたが追加の薪を買った。今度の薪は細目に割ってあるので助かった。これなら鉈を使う必要がない。売店ではいつものように瓶の牛乳も買った。かみさん御用達なのである。
われわれのサイトのところは、ちょうど竜ヶ岳の登山道の出入り口にあたり、トイレもあるので、団体登山客が下山してきたときにはトイレ渋滞もできてなかなかの賑わいぶりになったのがおかしかった。中年の女性ハイカーがわれわれ同様に小鳥の営巣を見つけ、「シジュウカラね」と言っていた。
さて、今回の焚火では少し調理をやってみようということで、これも40年くらいの年季のある、焚火台Mにぴったりのサイズのグリルも持参してきた。まずはお湯を沸かす。
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コーヒーを淹れた。パックになったドリッパーのコーヒーだが、外で飲むと各段に旨い。キャプテンスタッグのアルミケトルはやや華奢な作りだが、焚火の上でも使えそうであった。
昨日は日が暮れて簡単夕飯になり、ちょっと寂しかったので、きょうは早めに支度をしようということになり、17時前に無洗米1.5合を水浸し、約30分分後に炊き始めた。今回は、20年くらい前に買ってあまり使っていなかったユニフレームのバーナーに登場してもらった。ゴトクの大きさが限られるのが欠点だが、バーナー部の径がイワタニのJCBよりも大きいので、メシを炊くのには都合がいいのではないかと思ったのである。
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メシが炊き上がったところで、蒸らす。そのあいだにいよいよ焚火らしい調理に入る。ランチョンミートの缶を開けて内容を四等分し、スキレットにオリーブオイルを少し垂らして焼き始めた。
スキレットは熱の回りが良いが、焚火だといっそうその感が強い。見る間にランチョンミートはカリカリに焼き上がり、旨そうな匂いを辺りにふりまくのであった。
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夕方からは目に見える別のパーティはひとつだけになった。それも100m以上離れている。静かな静かな夜だ。騒がしい人たちはどこにもいない。夜半から雨になるという予報が出ているので、少しずつ片付けを開始する。
薪は7本ばかり残して足すのをやめた。テーブルの下に残りの薪を置き、雨に濡れないようにしておく。
就寝したのは22時頃だったか。24時頃に二人でトイレに行ったときにはすでにポツポツと降り始めていたが、そのうちに本降りとなった。けっこうな雨音である。
5/13(月)は白み始めた頃に目が覚めて、外をカーテンの隙間から覗いてみれば、テーブルの下に置いた薪も濡れ鼠。それどころか、場内の低いところは池のようになっていて、土曜の夕刻に設営したあたりは、とても歩けたものじゃない。高台に引っ越しておいて正解だったというものだ。
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傘を差しながら外に出て、焚火台の後始末をし、テーブルを片付けた。簡単なものでもいいから、雨具を車内に置いておけば良かったと思った。
朝飯は、テールゲートを開けて荷台で作る。トースターでパック餅を焼き、醤油と海苔で磯辺巻きにするのである。簡単だが、旨かった。
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さて、8時過ぎにキャンプ場事務所の人々が現れたので、濡れた薪をどうしたらいいのか訊きにゆく。すると、売店で引き取ってくれるというので、そうさせてもらった。また乾かして再販するのであろうと思われる。資源を無駄にしない良い方法なのだ。
雨は嫌いではないが、さすがにキャンプ場で雨は応えるので、9時頃に出発する。道の駅あさぎりに寄って、自販機のコーヒーを飲む。かみさんはミルクティーだ。ちゃんとあたたかい飲み物を置いてあるのが助かる。
11時前に新東名のネオパーサ清水に立ち寄り、ここで早めの昼ごはんとして、つとに有名な「すた丼」を食す。チェーン店化されて久しいものの、私は東京都国立市にあった元祖の店の客でもあったのだ。その当時のものと比べるとだいぶマイルドになってはいるが、それも時代の変化、これはこれで良しとする。
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なおも降り続く雨の中、新東名を降りた市内で少し買い物もして、13時頃にわが家に無事帰り着いた。雨に濡れながらいろいろ片付けをしていたせいか、ほっとすると同時に疲れも出てきて、しばらく荷物と車は放置。18時頃に荷物を下ろし、20時頃にピクニック・ゲリラ号をガレージにしまって、ひと区切りついたのであった。
その頃になってどうも筋肉痛が出てきた。かみさんもやはり筋肉痛がするという。彼女曰く、「前屈みで小枝をいっぱい拾い続けたせいじゃないかな」とのこと。確かにそうかもしれない。
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