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鋳物珈琲ミルの復活

11年ぶりのポタリング会で会った自転車仲間から、自家焙煎珈琲豆をもらったことがきっかけで、長い間キッチンの片隅で埃をかぶっていた鋳物の珈琲ミルを再使用することになった。

腐るようなところはないが、挽いた珈琲の受け皿となっている引き出しは木製なので、ここにカビとか生えていないかどうか、私よりもずっと鼻のきくかみさんに見てもらったら「大丈夫」ということだったので、早速使用開始。

上部の蓋を開け、珈琲豆を入れてゴリゴリとハンドルを回す。ハンドルが大きいので効率が良さそうに見えるが、実際にはけっこう時間がかかる。水平にハンドルを回す一般的なタイプのミルのほうが効率がいいようだ。

しかし豆が挽けていくところが上から見えるので、これはけっこう気分がいい。水平タイプのように抱え込んで挽くわけにはいかないが、どっしりと重量があるので、テーブルの上でも安定している。

このミルを買ったのは独身だった頃だから、もう30数年前くらいのことなのだ。当時はけっこう珈琲を豆で購入していた。ミル自体の価格も1万円を超えていたのではないかと思う。

豆から淹れていたのが、いつのまにか、MJBのやや大きな缶入りの挽いた豆のものになり、珈琲豆の販売店ではなくスーパーで買うようになった。もっとあとにはドリップパックで飲むようになった。

その頃は豆も今とはだいぶ価格が違っていた。ふつうのグレードのものは、200g700円ぐらいではなかったかと記憶している。

今では、良い豆やこだわりのある店の豆などは、200gで1400円ぐらいする。倍の価格である。私はさすがにその金額は出せないので、こないだも昔通っていた店に行って、200g980円の「特選ブレンド」を買ってきた。

ドリップ用のペーパーや燃料費を考慮に入れなければ、これで1杯あたりのコストは約50円くらいである。ドリップパックは約25円くらいだから、値段的には倍くらいかかるが、ミルで挽くときの香りの良さや、珈琲ケトルから湯を注いだときの粉のふくらみ方などは捨てがたい。

そういうわけで、とりあえず珈琲を飲みたいときにはドリップパックだが、仕事が終わったときなど、ゆっくりと愉しみたいときには豆を挽いた珈琲を淹れるようにしている。

購入してから30年は経っている珈琲ミル。鋳物で重たいが、安定はしている。また使うことになるとは思わなかった。

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白鳥和也/自転車文学研究室
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