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手というものへの憧憬
手は人間の象徴でもある。手を描くのは難しい。ヨーロッパの昔の肖像画は、手を描き加えると料金がその分高くなるのだということを聞いたことがある。
手は他人と関わり合うときにも重要な役割を演ずる。接吻のときには手ぐらい握りなさい、と言われる場合すらある。
自転車には手がない。手はないが、人間の手と直接触れ合うブレーキレバーやシフトレバーは、どこか指に似ている。同じようなものが扱いやすいからだろう。
ロボットの核心的な部分はたいがい頭部と手だ。どれくらい繊細な動作ができるかは手の完成度にかかっている。
人間の手を模したものを作り出すのも、また人間の手である。創造というものは、なかなかにややこしい。
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