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軽い車輪のデメリット
小径車のデメリットについては、二つ前の記事で書いた。そのことと同様に、あまり意識されていないことに軽い車輪のデメリットがある。
自転車、特に道楽やスポーツの自転車は「軽量」という点に重要な価値を置く。高価で高品質なフレームや部品はたいがいにおいて軽量である。
しかし中には例外もあるのであって、必要な強度が確保されていたとしても、軽すぎるものにはデメリットが生じる部分がある。
実は車輪もそのひとつなのだ。
自転車の軽量化は、回転部分を中心に行うと効果が顕著であるという暗黙の了解がある。
しかしこれに反して、回転部分の最たるものである車輪は、極端に軽くないほうがいいのである。もちろん、必要な強度や剛性は確保されている上での話だ。
なぜかというと、軽すぎる車輪は登坂の点で不利になる可能性が高いのである。これは実際に経験してみるとよくわかる。
軽い車輪は踏み出しが軽い。しかし踏み出しが軽いということは同時に、速度の減少も速いということになる。
慣性の問題なのだ。自転車において車輪は、車体を路面につなぎとめ、推進力を生みだすデバイスとなっているだけでなく、車輪の回転のエネルギーを維持するフライホイールの役割も兼ねている。
軽くない車輪は踏み出しも重いが、一度速度に乗ってしまえば、空走しても速度の減衰は少ない。
極端に軽い車輪や、同様に軽量な小径車輪の自転車は、だから登坂では不利になりがちだ。
上り坂でもわれわれは常に一定の力でペダリングしているわけではなく、緩急をつけていることが少なくない。そういう場合、ふつうの重量の車輪には一定のフライホイール効果が発生するために走りも安定することが多いが、軽すぎる車輪ではその効果が期待できない。
しかし、どこまでが「軽すぎる」のか、どこからが「適度な重さ」かは、一概には数値化できないだろう。乗り手によってそれは異なるように思われる。
私の経験では、650×35Aの車輪よりも700×35Cの車輪のほうが明らかに登坂は楽だった(いずれもタイヤはオープンサイド)。
自転車道楽には「常識」があるが、いつもその常識が正しいとは限らず、常識はウソをつくこともあるということを知っておくのも悪くはない。
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