君の造形の妙(カンパレコードFD讃歌①)
君の名はカンパニョーロ・レコードのフロント・ディレーラー。
古典ロード、古典ランドナー時代の寵児。
君を26.8径のシートチューブに装着するときの、あの吸い付くような一体感を何に喩えよう。
あの快美感は、自分で組み付けたことがある者にしか分かるまい。
白金(しろがね)のひんやりとしたエロティシズム。
それは力学的構成のパンタグラフのシルエットにすら現れている。
そう、われわれは同じ夢を見ていたのかもしれぬ。
経済が購うことのできぬ造形の夢を見ていたのかもしれぬ。
そうだ、君は彫刻でもあった。
鋳型から生まれたもののはずなのに、君の位相幾何学はそれを反転し、その中に世界を封じ込めたのだ。
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