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50年ぶりにエサ釣りをした

50年ぶりぐらいで、中学生の頃に戻ったような釣りをした。場所は清水港。港の奥の折戸湾と呼ばれる比較的浅いところである。お仲間に声をかけたところ、2人が参加表明。ドクターのSセンセと、ランクル&ジムニーオーナーのKKS氏である。海釣りベテランのO氏も、時間が合えば見に行くよということであった。いちおうのタイトルは「ハゼ釣り大会」である。

前の日から準備。なにしろ中学2年くらいでエサ釣りからルアー釣りに転向してしまい、その後はフライにも手を出したということで、生きエサを使うような釣りはほぼ50年やっていないのである。エサ釣り、浮き釣りの道具は持っていなかったので、これも50年ぶりくらいに行った釣り具屋さんでハゼ釣り用の仕掛けを買った。竿は以前に中古で買ってあった小継ぎの振出し竿で、コンパクトな2.7m。ま、岸壁のすぐそばで釣るならそれで足りるだろう。

「ハゼ釣り大会」の当日は土曜日。現地に14時頃に集合ということで、その前に餌を買いに行ったはいいが、目当てのアカイソメはなくて、アオイソメになると言う。こりゃ困った。アオイソメはアカイソメよりも太くてグロテスクなのだ。弱った。しかし背に腹は代えられないので、Sセンセの分と合わせて2人分購入。

集合場所に入る前にちょっとパラついてきたが、本降りにはならなかったのでひと安心。14時過ぎに3人集合して、早速仕掛けのセットにはいる。いちおうライフジャケットとかロープとかも用意してきたが、3人いるならまあいいかということでふつうの格好で釣り場に立つ。

しかし私の仕掛けがあまり具合がよろしくない。かみつぶしの重りが小さすぎて浮きが立たないのだ。これでは不能なのだ。そこでSセンセにガン玉のかみつぶし重りを分けてもらい、浮きの機能を回復させる。

それはいいが、餌をつけなくては釣りにならない。恐ろしいが、諦めてアオイソメを手にとる。ぎえ~。気持ち悪い。う~。あっ、イテエ、噛まれた。
くそ~。ぶっちぎっちゃうぞ。わあ~。ぶちっ。ぎえ~。てな具合で阿鼻叫喚寸前でなんとか餌を針につけることができた。

3人で釣り場に立ってものの5分くらいだろうか。KKS氏の仕掛けにヒットあり。けっこう引いているので、駆けよれば、なんとクロダイの仲間のキビレだ。サイズは20cmぐらいある。ハゼ釣りの外道としては大型だ。

キビレなんて中学生の頃には釣ったことはなかった。さすがクロダイの親戚ということで、気品がある。しかし今日の「ハゼ釣り」では外道なのだ。

そのうちに私の浮きも消し込んで、合わせたら、地元で「ギンダベラ」と呼ばれているヒイラギが釣れた。これは食べたら旨いらしいのだけれど、粘液がひどいのと鰭に棘があって痛いのであまり好まれない。これも外道であるので即リリース。

ヌルヌルしている上にトゲトゲしているので、あまり釣り人には好まれないヒイラギ。
静岡県では「ギンダベラ」と呼ばれることが多い。

だんだん佳境になってきたかなと思われる頃、海釣りベテランのО氏が現れる。しばらくギャラリーとして参加してくださった。浮き釣りを50年ぶりにやっている私に対し、大型の魚はこんな風に引くよみたいに教えてくれる。なるほど、確かにボラなんかはいきなり浮きを消し込むことは少なかったような気がする。

しばらくギンダベラの入れ食い状態が続く。Sセンセは底をとる2本針の投げ釣り仕掛けに切り替えて、ポンポンと釣っているうちに、回遊魚みたいな小魚を釣った。誰も見たことのない魚である。広く探る投げ釣りは効果的で、2荷で何度も釣りあげておられた。

しかし肝心のハゼはさっぱり釣れない。次に私が釣った外道はクサフグ。これはどうしようもないので、魚体にさわらずに針から振り落とした。そして堤防からご退場願った。

ギンダベラ入れ食い状態のまま、またまた私が釣った外道はキビレ。だいぶ小さいのだが、やっぱり姿が美しい。それからまた何匹かギンダベラをかけたあと、美しさピカイチの魚体が現れた。

私が釣ったキビレ。10cmちょっとぐらいだった。
20cmあるかないかぐらいのセイゴ。魚として非常にバランスの良いシルエットをしている。シーバスと呼ばれるだけに、淡水のバス類も彷彿とさせる。

セイゴが釣れたのは意外だった。昔フライで釣ったこともあるけれど、それよりも少し小さかった。私のシーバスの記録はストリーマーフライで釣り上げた38cm。それももう30年以上前の話だ。

相変わらずギンダベラ入れ食い状態でさっぱりハゼが釣れないことに業を煮やしたSセンセは、車で近所に偵察に行く。その少し前にО氏は帰られた。Sセンセが、ほかでもハゼはまったく釣れていないようだと戻ってきて報告された頃、買い物にエスパルス・ドリームプラザに出掛けているかみさんから、ピックアップの要請があったので、私はしばし釣り場を離れる。

戻ってからは、かみさんにも竿を持たせる。果たして釣れるかと思っていたら、ギンダベラを釣った。もちろん針から外すのは私である。

そんなこんなでぼちぼち17時近くなった頃、私の浮きがまた勢いよく消し込んだ。せいや、と合わせたら、お、重いぞ、おおお、けっこう引くなと思ったので、中型のキビレかなと思ったが、現れたのはスミヤキ(シマイサキ)であった。この魚はルアーでも釣れることがあるらしい。

ハリスが細いので、抜くにはちょっとかなと躊躇っていたら、SセンセがKKS氏のタモでキャッチしてくれた。ありがとね。サイズは25cm弱くらい。
きょうの私の釣果の中ではいちばんの大物であった。これを釣ったのも50年ぶりくらいである。

画像は小さいが、これがいちばん良型だった。静岡県中部ではよく「スミヤキ」と呼ばれるが、正式名称は「シマイサキ」である。

そんなこんなでぼちぼち夕方になってきたので、一同、「上がりますか」ということになった。肝心のハゼはとうとう一匹も釣れなかったのであるが、少なくともボーズにはならずに良かったのであった。

KKS氏は、良い型のキビレを複数釣ったので、「キビレ大物大賞」である。また、中学生のときに買ったという4本つなぎの竹竿が良いコンディションで、当時の釣り具のていねいな仕上げが偲ばれるため、「クラシックタックル賞」も受賞。

Sセンセは、いちばん数を釣ったので、「数釣り大賞」をゲット。また、餌箱やフォーセップの提供やタモのアシストなどがあり、「サポート大賞」も受賞されたのである。

私は、キビレ、ヒイラギ、クサフグ、セイゴ、シマイサキの「五目釣り賞」でありました。

というわけで、愉しかった午後の釣行も終わったのでした。アオイソメにはちょっとまいったけれど、中学生時分の遊びをリバイバルできて面白かったです。

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白鳥和也/自転車文学研究室
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