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小さな丘の追憶

小さな丘が好きだ。
個人的には「ポケット丘陵」と呼びたくなるような。
神奈川とか、台地が地勢のベースになっているようなところに多いような気がする。

もっとも、いまは大体開発されてしまって、小さな丘にもたいがい住宅が建っている。
なかにはかなり大きな集合住宅が建設されているところもあるし。
もっと地方に行かないと残っていないかもしれないね。

家が何軒も建つような丘ではなく、ほんの築山みたいなでもいいね。
とにもかくにも、ある起伏が存在しているのは風景のポイントになる。

上に登れればそれはそれで面白いが、登れなくてもいい。
周囲から眺めているだけでも、面白みがある。

母の実家である祖父母の家の周りには、そういう地形が多かった。
ちょっとしたお屋敷風のとある家も、小高い土地に建っていた。
里道から屋敷の中へ続く道の両側に樹木があった。
夏にはそこでアオスジアゲハを見たっけ。

そこからほど近いところにも、小さな細長い丘があった。
平屋の屋根ほどの高さだったと思う。
そこは私の記憶が正しければ、イヌマキの樹が植わっていた。
登ったような記憶があるような気がするけれでも、判然とはしない。

祖父母の旧い家自体も小さな小さな丘に隣合わせていた。
子どもの頃は、なんとなくその丘に生えている木などの鬱蒼とした感じが少しばかり怖かったように憶えている。

数年前にそこを訪ねたら、石垣があって、その向こうに別の小さな丘が見えた。
その辺りの風景は、私が子どもの頃とあまり変わっていないようだった。

小さな丘のある風景は、幼年時代の小さな追憶のように、愛おしい。

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