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シュタイナーによる「死者への朗読」

 以下は、ルドルフ・シュタイナー『精神科学から見た死後の生』(西川隆範訳)からの抜粋です。お経を上げるのと同じ意味で、死者のために(精神的な内容の本の)読書が有効であることが書かれていました。『精神科学から見た死後の生』は、非常に内容が濃いうえに、シュタイナーの著作としてはかなり読みやすい構成になっており、死者を供養したいと考える人にとって特に有意義な本と思われます。以下が抜粋となります。

 私は、精神科学的な努力のよい成果のみを、みなさんに話すようにしています。死者に、本を読んであげることができるのです。死者に向かって、精神的なことがらの書かれた本を読むことは、大変死者のためになります。

 まず、思いを死者に向けます。死者のことを思い出し、死者が自分の前に立っているか、座っている姿を思い浮かべます。大きな声で読む必要はありません。「死者が私の前にいる」と思いながら、本に書かれている内容を注意深く追っていきます。そのように、死者のために本を読むのです。抽象的に思考してはなりません。書かれている内容を考え抜くのです。それが、死者のための読書です。

 同じ世界観を持っていた死者、人生のなんらかの領域に関して共通の考えを持っていた死者、個人的な関係を持っていた死者に対しては、たとえ生前疎遠であったとしても、本を読んであげることができます。死者は自分に向けられる暖かい思考をとおして、次第に本を読んでくれる人に気付いていきます。それどころか、疎遠であった人が死んだ後、本を読んで聞かせるのは有益でもあります。

 朗読する時間は、いつでもかまいません。「いつ朗読するのが一番いいのか」と質問されたことがありますが、時間とはまったく関係がありません。

 書かれている内容を、本当に考え抜かねばなりません。表面的に読むのでは不十分です。暗唱するなら、一語一語考えて言葉を発する必要があります。死者もともに読んでいるのです。「そのような朗読は、生前に精神科学に好意を持っていた人にとってのみ有益だ」と思うのは、正しくありません。そのようなことは、まったくありません。

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