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四万十川への旅

2003年4月に四万十川まで車で旅をしたことがある。かみさんと二人で、ワゴン車にキャンプ道具と自転車を積んで出掛けた。

1日目は東名高速と東名阪経由で奈良県の天川に立ち寄り、天河神社脇の駐車場で車の中で仮眠をとって夜を明かした。

2日目は紀ノ川に沿って国道を西進し、和歌山港からフェリーに乗って四国に渡った。フェリーは2時間あまりかかったように記憶している。

着いた先の徳島では大学時代の友人に電話して、会った。海鮮の旨い店に連れて行ってご馳走してもらった。魚もさることながら、鳴門わかめの味噌汁が非常に旨かったことをよく記憶している。

四国と淡路島のあいだに架かる大鳴門橋のたもとにも連れていってもらった。月のきれいな夜だった。シラスウナギを獲る漁火が印象的だった。

3日目は高速に乗り、まずは高知市内を目指す。ここでリバーサルフィルムを仕入れた。このときはまだ銀塩フィルムで撮っていたのだった。高知市内は4月とは思えないくらい暖かく、前々日の奈良の天川でダウンジャケットを着ていたことが嘘みたいだった。

その先は須崎までまた高速を行って、あとは下道。これが長い。延々と四万十河口の中村市まで続く。ようやく中村に着いたのはすでに夕刻で、そこから四万十川沿いのキャンプ場までまだ少し走ってようやく受付を済ませた。係の人は待っていてくれたらしい。すまないことであった。

まだ4月のそれも平日なので、キャンプ場はわれわれに貸し切り。このときはまだ焚火台を持っていなかったため、いくら四国とはいえ、夜はけっこう寒かったのであった。キャンプに焚火が欠かせないと痛感したのはこのときが最初だったようだ。

4日目はキャンプ場で起床し、昼間は自転車を組み立てて乗った。川沿いの道もそこそこ起伏があり、四万十川の雄大な景観を愉しむことができた。

夜になって四万十川河口の立ち寄り温泉に行ってきたが、戻ったらタヌキがキャンプサイトに出没したらしく、食べ残しを食い散らかされたような跡があった。これに懲りて寝る時はゴミは車内にしまった。

5日目はキャンプを撤収した。須崎から以前四万十川に仕事で来たときにお世話になった方、O氏が来てくださり、四万十川を遊覧する貸し切りの和船に乗せてくださり、昼食もご馳走になってしまった。ありがたいことであった。

ぼちぼち旅の疲れもたまってきていることもあり、5日目の夜は中村のホテルに投宿し、夕食は以前に会食したことのある中村市内の料理店に入った。ここで少々奮発して四万十川コースなるものを食し、2人ともおおいに満足したのであった。追加で頼んだ天然もののウナギは最高だった。

6日目は帰途につき、途中の須崎でO氏と落合い、またしてもご当地で有名な煮込みラーメンのお店に連れていっていただいた。高速に乗ったのはすでに16時くらいではなかったかと思う。

瀬戸大橋を渡る頃には夕暮れになり、橋の途中のサービスエリアで食べたうどんがやたらに旨かった。四国はそういうところで、どこで食べてもうどんや麺類が旨い。感心したのであった。

瀬戸大橋を抜ける頃に出た表示が、神戸まであと百何十kmみたいな距離程で、さすがにこれにはウンザリしたが、休み休み走ってなんとか阪神や京滋方面を抜け、日付が変わる頃には愛知県に入った。

さすがにここで疲れてきたために少し仮眠し、無事家に着いたのは午前三時近くだった。運転は私一人がした。24時間以内に走った距離としては、過去最長の約750kmだった。

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白鳥和也/自転車文学研究室
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