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【余計なお世話の地方創生論】インタビュー#01:永山由高市長(日置市/鹿児島県)②基礎自治体と国・県との関係性

インタビュー1本目では、対話を重視する市長のお考えなどを中心にお話を伺いました。2本目では、基礎自治体と国・県との距離感や関係性について教えていただきました。


テーマ2:地方創生と国・県との距離感

人口という数字だけにとらわれない政策へ

 - 石破総理が「地方創生2.0」を掲げられていますが、永山市長にとって地方創生という言葉をどう捉えてますか?

ただの言葉ですね。ただの言葉ですけど、国のグラウンドデザインを示すという役割において、ある程度意味を持っているのではないかと思います。市町村経営という観点で言うと、元々基礎自治体の自主財源は1/3前後のところが多いわけです。残りは国と県のお金に依存してるのが現状になります。 もちろん地方交付税・特別交付税というのは措置されていますけど、何か戦略的な事業をしようと思うと、新しい地方経済・生活環境創生交付金(かつての地方創生交付金、デジタル田園都市交付金)などを利用することになります。国が目指す方向性をある程度把握した上で、政策推進のメニューとして地方創生の交付金を適切に認識していくことは、地域側の選択肢を増やすことになります。国からの政策誘導は基本このように展開していきます。実際に、迅速に取り組むべきDXに関して、地方創生推進交付金をデジタル田園都市国家構想交付金に変え、デジタルの実装がまさに魅力的な田園風景とのバランスをとって日本の未来を描くんだみたいな構想を政策によって描くことは一定の力を示したのではないかと思います。ですので、国はどういう形で交付金もしくは補助金を地方に配分するかという点において、政策誘導的にこの国のグランドデザインを示すという機能と役割は持っていて、一定程度、意味がある政策なのではないかなと思います。

ただ、以上の議論は政策論や財政論の範囲でしかないわけです。根本的な地方創生自体において、人口を達成指標にすることは厳しいだろうなと思っています。KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を策定する時に、同時に人口ビジョンというのを自治体は作ります。確か最初に人口ビジョンつくったときに、全市町村の人口ビジョンの目標値を合わせたら、2億人以上になるとも言われててましたけど、日本人の総数が2億人になることは難しいでしょう。 もちろん、つい最近90万人を割り込んだ出生数が、もう70万を割り込んでますから、このペースで少子化が進むということについての問題意識は強くありますし、子供子育て政策はしっかりと取り組むべきなので人口論は地方創生の一つの論点ではあります。しかし、その地方創生推進政策の評価軸の中心にいつまでも人口という議論が置かれていると、もっと大事な要素が抜け落ちてしまうんじゃないかなという感覚はあります。

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■概要 地方創生は、多くの人々が様々な形で取り組む重要な課題です1。しかし、その具体的な内容や進め方…

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