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永遠ならざる洗濯洗剤
我が家にドラム式洗濯乾燥機を導入してしばらく経つ。これまで、洗濯か乾燥かのコース選択ボタンの扱い方やフィルターの掃除方法については家人に倣い、幾度となく実践してきたのだが、洗剤の自動投入部分については手をつけてこなかった。
当初、それまで縦型洗濯機用に使用してきたジェルボールで対応していたが、縦型の時と異なり全てがきちんと溶けきれず、ドラムの出口付近のパッキンの間にボールの残り滓が溜まるという不衛生な状態を生じたため、やむなくジェルボールは実家に譲り、自動投入方式を選択せざるを得なくなったのだ。
ところが、この洗剤の自動投入というのが曲者で、洗剤が永遠にどこからか湧いて出るということはなく、上の容器が空になれば、そこへ液体洗剤を注がねばならない。そのわずか数センチの四角い穴に洗剤を過たずに注ぎ入れ、決して溢れこぼさないようにするというのが難儀なのだ。
家人がいるうちはよかった。だが、留守番が長くなると、必然的に燃料切れになるのと同時に、このままでは永遠に独力で洗濯機を回せなくなるとの危機感から、覚悟を決めて洗剤補給の儀に取り組んだ。
まず、いったん洗剤容器を洗濯機から取り外し、洗面台で入れる方法を試みてみたのだが、これはそもそも容器の取り外しと取り付けが一手間で、毎回やっているといやになるという結論に達してやめた。
次に、洗濯機に取り付けたまま注ぐやり方だが、先ほども述べたように、この場合には入れる際に最新の注意を要する。熱湯を注ぐ場合にも同じ困難が生じるのだが、全盲の場合、入れる先の的がある程度広くないと、右へ左へと的を外して大惨事になりかねない。そこで、確実に洗剤の注ぎ口が容器に差し入れられていることを確かめてから、事に及ばねばならない。そのためには、プラスチックボトル本体より、詰め替え用の袋の方が、入れる際に口元の根っこを摘んで曲げられるし、およそ一杯まで入れられたらホースを指で摘む要領で止めれば良い。
この方法で、先ほど人生二度目の自動投入式洗濯機への液体洗剤の補充を終えた。
こうして師走始めの休日が、泡のごとく過ぎていくのであった。