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ニャんだこいつは/野良猫狂想曲②

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次の日の朝、出勤しようとバイクを停めてある駐車場に向かうと、そこいらに黄色いスポンジがふわり、ふわり と風に吹かれて漂っている
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(一体なんなんでしょ、コレ?)
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と不思議に思いながらも歩いていき自分の通勤用のビックスクーターを見て嗚呼、なるほど、と納得。
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元々破れたシートをテープで補修していたのだけれど、それがテープごとビリビリに破かれていて、シートの中身のスポンジが引っ掻きだされている。
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まるで内蔵を引き裂かれたみたいだ。可愛そうなおれのフォルツァ。
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「ひどい!!一体誰がこんなことを!?引っ越したばかりなのに何か恨まれるような事でもしたのだろうか?それともこの集落には呪いかなにか、、、」
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とぼとぼと悲しい気持ちでバイクに近づいて破れたシートをよくよく眺めてみると、おや、、、足跡が、、、この土が付着した可愛らしい足跡は、、、。
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猫だ!猫の仕業だ!おれのバイクのシートで爪研ぎしやがったんだ。昨日、面倒そうにちりぢりになった奴らの仕業だ。くそ、なんて連中
だ。まるでギャングだ。猫ギャングだ。
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猫好き達が奴らをkawaii、kawaii甘やかしすぎなんだよ。ったく。
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そういえば、二つ隣の人当たりのいい老夫婦、確か野良猫達に餌あげてたなー、あれかー。うーん、いきなり文句言うのもアレだし、まぁ、もう少し様子を見ることにしよう。
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ちなみにぼくが引っ越した一軒屋は相鉄線西谷駅と横浜線鴨居駅の間にある峠のちょうど頂点付近にある、古びた一軒屋が六軒並んだちょっとした集落みたいな場所だった。そして、とてつもなく寒かった。
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その頃、うちに来ていた結婚する前の妻いわく
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「あの家の寒さはただただ恐怖だった」と
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その集落に住んでいるぼく以外の住人は、イタリア料理屋を経営する夫婦。金魚を飼っている謎の芸術家夫婦、バイク狂の若者、猫に餌をあげる老夫婦、全身入れ墨のガテン系らしき旦那と若奥さん。という濃すぎてなんかもう引っ越した事を若干後悔したくらいだった。とにかく、皆さま、くせが強い。まぁ、それはそれで楽しかったけど。
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そして徐々に猫達のぼくに対する嫌がらせはエスカレートしていく事になる。
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とにかく、これだけは先に言わせて下さい。野良猫に餌をあげるのはやめましょう。
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只野 漠
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