あなたも無邪気なレイシスト(人種差別主義者)かもしれない
英語力ゼロで始めたカナダ生活も10年目のWakei です。
さて、あなたは自分のことをレイシスト(Racist/人種差別主義者)だと思いますか?
私はNoと答えます。多分皆さんもそうでしょう。
ところが私はカナダ人に「あなたはレイシストだったの? それはレイシストな発言。Wakei ,そんなこと言ってはいけない。」と注意を受けたことがあります。
まずは、その話を紹介します。皆さんも考えてみてくださいね。
レイシスト認定発言 1.ある夜の出来事
ある夜、カナダ人の友人と二人でバス停にいたら、向かいのバス停に向かって歩いている知合いの黒人男性に友人が気づき、手を振りました。私も友人に言われて遅ればせながら気づき、私も手を振りました。
そして思わず
「暗闇から出てきたから、色が黒いし、よくわからなかった。」
と言いました。実際にそうで見えにくかったんですが、その時に友人に、
「Wakei,あなたはレイシストなの?」
と驚かれました。それを聞いて私もびっくりしました。
レイシスト認定発言 2.家に入る前に
仕事でクライアントの家に行ったときに、オーナーの女性がパンジャビドレスで家の前で待っていてくれました。思わず車の中で
「きっとインド系の人の家だからカレーの匂いがするよ。」
と言ったら、カナダ人の若い同僚から
「Wakei、そんなこと言っちゃ絶対ダメ。」
と言われました。
私はインドのカレーがスキだし、インド系の人の家に行くとカレーの匂いがする家が多いのは事実なんですが、レイシスト的な発言と認定されました。
ついでに言うなら、私の予想に反してこちらのお宅はカレーの匂いは全くしませんでした。
レイシスト発言に敏感なカナダ
どうですか?
私が「レイシスト発言」と言われた2つの事例を読んで、あなたはすぐに「これはまさにレイシスト的な発言だ」と反応しましたか?
私のこの2つの発言は、素直に思ったこと言っただけで、相手も共感してくれることを期待した発言でしたが、共感して笑ってくれるどころか、カナダ人に非難されました。
カナダは多文化国家で多様性を認める国ですから、こうした文化や人種の特徴や違いをネタにした、多少なりとも悪意を感じさせる発言には敏感です。
なぜなら、カナダ人にとっていろいろな国のさまざまな人種の人は、同じ国民であり、自分の親戚の一人だったり、友達だったり、同僚だったり、ご近所だったり、すぐ傍にいる人たちなのです。
もし誰かが、あなたの彼女や彼氏の人種、民族、文化を笑いにするようなことを言ったら、あなたはいっしょになって笑えますか?
「レイシスト的な発言やジョークを人前で言わない」ということは、カナダでは暗黙のルールで、それがないと多文化国家は憎しみや分断で危ういものなるでしょう。
ですから、日本人が思うより、差別的発言の基準がカナダではずっと厳しく、単一民族の日本は、先進国とか国際化と言いながら、ゆるゆるです。
日本人は要注意
日本は、圧倒的多数が日本人で、独自の言語・日本語を話し、島国です。でうから、日本人は似たような価値観、ライフスタイルになりやすく、お互いに簡単に理解、共感できる分、日本人同士の共感が優先します。
反面、少数派の他国者、他人種の存在をあまり気にせず、差別的なことも悪気なく平気で言ったり、行動してしまうことがあります。
例えば、お笑いグループ・金属バットの「黒人に運ばせて」のネタ、DHCの「似非日本人」発言、日清食品の「大阪なおみの肌を白くした」CM、など呆れるほどの人種差別です。
もちろん、すぐに抗議はされていますが、日本で「これらを言ってもやっても問題ない」「ウケる」と思っているから、できたわけでしょう。その感覚が、日本の人種差別観を表しています。
その他にも日本のテレビ番組のトークやお笑いに「わぁこれはカナダではアウトだ」と感じるものをあるので、皆さんも気にして観てください。
また、興味のある方は、皆さんのまわりの外国籍の人や他人種の人にどんな時に不愉快か、聞いてみたらいかがでしょうか。
海外暮らしの必須マナー
私も「レイシストだ」とカナダ人の友人に注意をされましたが、最近、こちらの日本人オーナーの日本食レストランのFBブックの投稿が抗議されました。
その投稿は日本語で書かれた「スタッフ募集中!日本人のワーホリ、学生、主婦大歓迎!」というものでした。
そのオーナーは日本語でコミュニケーションする方がスムーズだし、日本食のことも理解している日本人スタッフを探していたことは確かで、日本語で投稿していたので、特に問題はない、と思ったと思いますが、カナダ人から「人種差別的で排他的な求人広告」として抗議されたのです。
この話を聞いて私たち日本人も「確かに今はgoogle 翻訳があるしね。日本語で書いたとはいえ、誰でも読めるよね。人気のお店だし、仕事を探しいる人も多い中、ファイスブックのお店の投稿で日本人と書いたのはまずかったよね。日本語が堪能で日本食に詳しい人歓迎だったら、よかったのかな?」
と考えさせられました。
人種差別をする気持ちではなく、実際に手っ取り早く日本人の方が助かるだけなんですが、誤解を生むような表現は極力さけないといけなかったのですね。この投稿はすぐにオーナーによって削除されました。
この日本語で書いた投稿一つで、このお店のメージダウンになってしまいます。一時日本で話題になった飲食店の「外国人お断り」は問題外のひどさであることが、よくわかると思います。
このように人種差別的なことを言わない、しない、ことは人間関係やビジネスにおいても必須マナーなのです。
無邪気なレイシストにならないために
日本では人種差別の教育もされませんし、日本にいる限り、少数派の不安で心細い経験もすることはありません。(海外で少数派になる体験はおススメです。)
大多数が日本人の中で、身近にいない、目の前にいない、少数派の人のことを、日本人同士の共通の価値観で笑ったり、バカにしたりしても直接相手を傷つけることもなく、今までは済んできました。
ところが、現在はネットで海外のいろいろな人と繋がることも、お互いを知ることもできるし、国際化が推進されるなか、旅行だけでなく、地域、学校、職場と以前に増して、海外から日本にやってくる人が増えています。(アジア系の人だと日本人と区別がつきません。)同様に日本人も海外に出ていっています。日本人以外の人と繋がる、日本人以外の人がそばにいる、環境になってきました。
そんな時代の変化の中で、人種差別の教育を受けていない、少数派の気持ちへの配慮の欠けた日本人は、無自覚で無邪気なレイシストになる可能性が大きいのです。
人種差別の問題は基準が明確ではなく、どこからが差別なのかわかりにくいことも差別問題をややこしくしていますよね。
唯一、自分が無邪気なレイシストにならないためにできることは、他国の人や他人種、多文化のことを話す前に言われた側が不愉快にならないか、自分の中に悪意はないか、考えてから話すことでしょう。
特に海外に出た時はいろんな人種のいろんな国の人、色々な考えがあることを改めて意識した方がいいです。日本語ならわからないだろう、と思っていたら、隣に座っていたのは、実は日本がわかるアメリカ人だったり、話した相手が白人でもその夫はアフリカ系の人かもしれません。安心してアフリカ系の面白いエスニック・ジョークを言ったつもりが、しっかりレイシスト認定されるかもしれせんよ。
レイシストにならないこと、レイシストを増やさないことは国内を安定させ、多くの人が気持ちよく暮らすために、今後ますます必要になってくるでしょう。
あなたも無自覚で無邪気なレイシストにならないように気を付けてくださいね。