カナダでも見る「Hillbilly (貧乏な白人)」の家族の実話
こんにちは。カナダ在住10年目、今年めでたく還暦のWakeiです。
本日は2016年のアメリカのベストセラー本「Hillbilly Elegy」・その映画をを紹介します。
映画名の「Hillbilly」は、スラングで「アメリカ南東部の田舎者の労働者」の蔑称で、Poor White (負け犬白人・貧乏人)を指します。
著者のJ. D. Vinceの半自叙伝の「Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis」(ヒルビリー・エレジー:危機に瀕した家族と文化の回想録)の日本語版でもAmazonで高評価が受けています。
私はネットフリックスの映画で観ましたが、アメリカでベストセラーになり、多くの人に共感された理由がわかります。
なぜかというと、「貧困白人層・貧困母子家庭」は北米では身近な実態だからです。
北米に興味がある方には、特におススメしたい映画・本です。
Amazonの日本語版もかなり読まれていて、評価が高いのも驚きです。
どんなストーリー
多少ネタばれになりますが、シングルマザーで貧困家庭の少年J.D.の母は、遂にドラック依存者になってしまいます。混乱したJ.D.家族の様子を見かねた祖母は、J.D.と2人で暮らしはじめます。
J.D. を貧困家庭の連鎖から抜け出させようとする祖母に、J.D.は応えるように働きながら勉強に励み、遂に名門イエール大学に入学します。そして、いざ就職の活動の大事な時期に母親の問題が起こる、という話です。
さて、J.D.は、明るい未来を前にどうするのでしょうか?
カナダでも珍しくない社会事情
カナダでも、J.D.のような家庭環境は決して珍しくありません。
リッチな白人層がいる一方で、日本ではまず見かけることがない貧困層の白人、ドラックユーザー、ホームレスは身近にいます。
食事のフリーサービスや賞味期限切れの食品を寄付してくれる施設がある近所に住んで、食費を浮かせている家族。
昼間から町で叫んでいるドラッグ依存者やホームレス。
その日暮らしの仕事で職場や宿泊を転々とするクレジットカードもない40代男性。
ドラック依存の彼女のためにアパートをすぐに追い出されるカップル。
充分な生理用品が買えず、生理になると学校を休む生徒。
高校内で生徒にドラッグを売る生徒。
これらはすべて私のまわりで起こったことです。
カナダでアジア人のホームレスやドラッグ中毒者は見たことがありませんが、白人や先住民の貧困やドラッグの問題は深刻です。貧困の希望が見えない環境から抜け出るのは大変です。
貧困や絶望から抜け出す希望
この「Hillbilly Elegy」は、事実として人生の可能性を見せてくれるのが嬉しいです。
それぞれ問題はある大人でも、心の底から悩み苦しんで、生きていることも共感します。大人も必死なんですよね。
大人も子どもも自分が最悪の状態の時に誰かが見捨てずにいてくれたら、希望が持てます。少しがんばってみようかな、って思えます。
この実話のように「Hillbilly (負け犬)」と言われる人、そう思って諦めている人や家庭の中から、多くのJ.D.が出てきて欲しいと思ってます。
北米の社会を感じる上でもおススメです。