オランダ発Miso屋:Miso屋を個人事業レベルなのに、日本の田舎と海外二拠点で起業。エコ移動式味噌蔵建設への道⑨
⑦→⑧→今回と引き続き、アーカイブです。
道中3
2022/04/24 09:00
「どこでも生きてゆける人間になりたい。」
これはずっと中学生位の頃から思っていた事です。
どこでも、どのような環境でも、危局でも、適応して、シンプルに自分の力で生き抜ける様になりたかった。それができれば、国が定めた資格や、肩書きよりも圧倒的に自分の為の揺るぎない自信になると感じていました。というか、最終的にはそれしか無い。「自信」=confidenceとは字の通り「自分を信じる事」。
「可愛い子には旅をさせろ。」とはよく言ったもので、私が可愛かったかどうかは分かりませんが、本当によくもまぁ両親は教員というお堅い仕事にも関わらず、かなり無茶苦茶な娘を止めずに(というかある時点からもう、エリちゃんは止めても決めたらやる。と諦められていたと思います笑。)、旅をさせてくれたと思います。特に母は眠れない夜を何百回も過ごした事でしょう。
高校生になると(中学生もですが)、進路相談というものがありますよね。私の高校の時も例外ではなく、確か高校2年生の夏休み後辺りに「今後の進路」の的なプリントが配られ、「進学希望の大学、学部」もしくは「専門学校」、「将来つきたい職業」の様な欄があり、先生はその紙を両親と相談して、数週間後に提出してください。といった流れだった気がします。
全く、書けませんでした。周りの友人達が提出しているのを見て、「凄いな、みんな。もう分かって、決めてるんだ!」とヒシヒシと感じていました。退出日が迫り、両親にも言えず、最終的に「将来つきたい職業」に「旅人」と書いて提出しました(笑)。それ以外、純粋にしたい事が浮かばなかったのです。自分で選ぶ希望なのに、したいかどうか分からない様な中途半端な事を書けませんでした。誰かが薦めてくれたから、誰かが「そうしろ。」と言ったからで仮に決めても、もしその選択肢が良からぬ形になったら、絶対にその人のせいにしてしまう事も嫌だったからです。今の時代なら「インフルエンサー」とか、「トラベルクリエーター」とかよく分からない横文字で、実際に「将来の職」。として世間にも認知されるのかもしれせんが、時はまだ2000年代前半。その後、母が進路指導の先生に呼ばれ「あなたの娘さん、どうなっているんですか?!」と言われました(笑)。
その後、母には「エリちゃん、どうするの?!」と言われて、
「いや、椎名さんみたいになりたい‥。」と答えました。
「椎名さんは、しっかりやってるからいいのよ。あなたはどうするの?!」(そりゃ、そうですよね。)
幼少期に見たエドウィンのCMで、作家・写真家の椎名誠さんがモンゴルの草原をジーンズを羽ばたかせて馬に乗って駆けて行くもの。というのがあったんです。このCMはもう、リトル・エリカには衝撃的過ぎて、そのCMの椎名さんは、いかにも「どこでも生きてゆける人間」の様に写ったのです。
↑こちらのCMです。
毎回書くのですが(笑)、本当に旅には想定外の事がよく起きます。
しかも、一人でいれば、その起きた問題を限られた時間で、限られた条件で解決しなければならない事を強いられます。それは大きな事から、小さな事まで。
例えば、お店もなく、誰もいない山中でテントが壊れたら、壊れたテントの部分の仕組みを理解し、今持っている物の中で、どう補修するか自分で考え、自分で実行しなければなりません。日が暮れはじめて、食べ物もなくなりかけて、グーグルマップもなく、さてこのままこの道を進むか、それとも戻るか。自分の位置を客観的に見て、決断をしなければなりません。ヒッチハイクで止まってくれた車に乗るか、乗らないべきか。この人は安全な人なのか?瞬時に判断しなければなりません。
実は、「旅」というものは何処か「ビジネス」や「起業」に似ている気がします。レッドオーシャンなマーケットという人が混み合い、揉み合う東京の様な都市を旅するか、はたまた動物くらいしかいない様な、山林の荒地という未開拓なマーケットを旅するか。どちらにしても、予期せぬ事は常に旅路では起き、その都度、経営者であれば進路を定め、判断し、解決して進んで行く(もしくはコケる事もあるけど、それも自分の責任)。
誰も正しい道は保障してくれないので、何処かで「自分を信じる」力がなければ、自分を疑い続けては、先には進めません。
今は様々なデータやニュースが瞬時に出てきますが、それでも完全にリアルタイムではありません(むしろあまりのデータやニュースの多さに、どれが正しいのか判断しがたくなっています)。だからこそ素早く風の流れや、空気感の変化を敏感に自分で感じる事は、必要だと思います。それは異国の地での旅路でも同じ。
私が特許を取った発明は、「問題点」を見極め、解釈し、その問題点を自分の持っているもののみで、どうしたら解決できるか。と考えた末に開けたものでした。この経験はある旅路での「壊れたテント」と同じ気がします。当たり前ですけど、一回じゃ上手くいかず、失敗するんですけどね。
という事で、そう、「遠くを目指して、旅に出よう。友よ。」by 椎名誠。
写真はアドレア海の海辺です。大きくそびえ立つ岩の上になんと一人の男性が!彼はあそこに一人座り、はたして何を思っていたのでしょうか。笑っていたのか、泣いていたのか。ただ、荒れる波を前に、じっと大海原を見つめる彼の背中に強さを感じました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?