6/15 The Guardian書評-ワニの条件的単為生殖の発見-
こんにちは!今回のThe Guardian書評はScientists record first known ‘virgin birth’ in female crocodile in Costa Rica
コスタリカで初めてメスのワニの処女出産が確認される。についてです。
内容
コスタリカの動物園で約16年間オスとの接触がなかったワニが出産したという初めての事例が確認された。2002年に2歳で捕獲されて以来、彼女は動物園で過ごしてきたという。このワニは自身の遺伝子的に99.9%同一である胎児を成形したとされており、この発見は恐竜などの祖先も自己複製能力を持っていた可能性があることを示唆している。条件的単為生殖は鳥、魚、トカゲなどの種で見られており、ワニでの事例は初の発見であった。稀ではあるが環境ストレスや配偶者の不足など、種が困難または不利な条件に直面したときに発生すると考えられている。
飼育員が14個の卵を確認し、孵化した個体はいなかったものの、その卵内に成形された個体が確認できたと述べられている。
条件的単為生殖とは
条件的単為生殖とは有性生物がオスがいない環境下に置かれた場合、単為生殖に切り替える繁殖方法のことを指します。繁殖方法はいくつかあり、代表的なものはオートミクシスとアポミクシスに分けられます。違いは、
オートミクシス:通常の有性生殖の場合、メスの細胞は卵子と極体に減数分裂し、卵子のみが生殖に用いられることで極体は余ってしまう。しかし、オートミクシスによる単為生殖の際は極体と卵子が融合することで新しい個体が生み出されることになる。この時、遺伝子はわずかに組み変わるため、母親の染色体しか使われていないものの、完全に同じ個体(=クローン)ではない。
アポミクシス:減数分裂を経ず母親と全く同じ遺伝子で新しい個体が生み出されること。(=クローンの形成)植物に多く見られる。
といった違いがある。今回の記事に上がっているワニの事例はどちらであるが記載はなかった。しかし、単為生殖を行う生物は多く、脊椎動物でも80種以上の種で確認されている。哺乳類はゲノム刷り込みの影響から単為生殖する事例は知られていないものの、マウスなどのいくつかの哺乳類の種では実験により単為生殖を誘発することに成功している。
まとめ
今回の記事では単為生殖について触れられました。この記事を読むまで知りませんでしたが、哺乳類以外の動物は自然発生的にクローン(正確にはクローンではない)を生み出すことが可能なのかと非常に驚きました。(生命の神秘だ!不思議ですね)一方、世間でよく使われる「クローン」は体細胞を用いて人工的に生命を生み出すもので倫理的な問題があります。しかし、もし哺乳類での自然発生的な単為生殖及び誘発の実現可能性が高くなればどう対処していくのでしょうか、、、。とても興味深いと感じた記事でした。
今回の記事はここまでです。最後まで読んでくださりありがとうございました。
参考文献