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刺さる文章を書くためには、大きな言葉を使ってはいけない。

大きな言葉というのは、男は~、女は~とか、部屋とか服とか、いろんな意味に取れる言葉です。初心者ほど男は~女は~と書くのですが、これはやめてください。ポルノ小説だけではなく、小説全般に言えることです。
 
例文を示します。まずNG文章から。

 女は部屋で服を脱いでいた。
 
これは具体性がなく、イメージが湧きません。
ポルノ小説は、文章で映像を想起させて、興奮して頂く媒体です。ポルノ小説の読者さんは、文章を読むことによって、映画を観るように小説世界を楽しむことができます。音や手触り、匂いや味までも感じます。
 
女にはいろいろいます。女騎士かもしれないし、アイドル歌手みたいにかわいい女子高生かもしれない。喪服の未亡人かもしれない。

部屋はどんな部屋でしょう? 王宮の一室でしょうか? 畳敷きの和風の部屋でしょうか? ベッドにフローリングの床の女子高生の部屋でしょうか。

服はどんな服ですか? 高校の制服ですか? ドレスですか? 鎧ですか? 着物ですか?

 クラウディア・ハディントン王女殿下は、王宮の私室で、ドレスの上に着た銀の鎧を外した。

なら、姫騎士が自分の部屋で鎧を脱いでいる様子になるし

 橘友里恵は、離れの茶室で、喪服の帯をほどいていた。

なら、未亡人が着物を脱いでいる様子になります。

 木崎結菜は、セーラー服のスカーフを引き抜くと、軽く畳んで勉強机に置いた。

ならまじめそうな女子高生になります。

こうした細部の描写を積み重ねていくことが、具体的にイメージを想起させる文章、すなわち抜ける文章になります。

さらに匂いや音も足しましょう。

まず姫騎士から

 クラウディア・ハディントン王女殿下は、王宮の私室で、ドレスの上に着た銀の鎧を外した。床に落とすと、ガシャンと軽い音がした。
「ふう」
 思わず声が漏れる。クラウディアはさらに、髪をまとめていたヘアピンを外した。金髪が光の粉を振りまきながら肩へと落ちかかり、爽やかな香りを放つ。

喪服の未亡人で

 橘友里恵は、離れの茶室で、喪服の帯をほどいていた。しゅるしゅると絹鳴りの音がして、紗綾模様の名古屋帯が畳の上にとぐろを巻く。さらに腰紐を外すと、ピンクの長襦袢を羽織っただけの姿になった。友里恵はほつれ落ちて来る黒髪を後ろ手に撫でつけた。着物に焚きしめられた伽羅がほのかに香る。

女子高生バージョン

 木崎結菜は、セーラー服のスカーフを引き抜くと、軽く畳んで勉強机に置いた。ボタンをプチプチと外して、セーラー服をくるくると脱いでいく。チェックのブラジャーに包まれた若い乳房がぷるんと揺れ、甘酸っぱい汗の匂いが漂う。
 
 いかがでしょう? だいぶエロくなったと思いませんか?
 大きな言葉ではなく小さな言葉を駆使して、具体的に書きましょう。

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わかつきひかる
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