官能小説は五感に訴えかける小説です。ヒロインを魅力的に描写しよう。
添削をしていて気がついたのですが、最近の方は、ヒロインの外見を書かない人が多い。エルフ娘といった書き方で外見描写を省いている。裸の描写もない。そのため、どういう体位でセックスしているのか、画像が思い浮かばない。ヒロインの外見描写がないと、エロ度が低くなりがちです。
これはここ最近の傾向で、なんでなのかなと思っていたのですが、なろう作家さんたちと話したときに気付きました。なろう作家さんたちは、描写は書かない、読者は描写は読まないからだ、描写するとストーリーが薄まる、「ビキニ鎧の女騎士」「メガネの生徒会長」「巨乳のエルフ娘」と書けばわかる、と言っていました。なるほど、WEB小説からの流れなんですね。
WEB小説と紙の小説は、タッチが違います。コロコロとヤングジャンプで絵柄が違うのと同じようなものです。求められる描写の量も違ってくるのです。
ポルノ小説は官能小説です。官能というのは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のこと。文章を読むことで映像が浮かび、音が聞こえて、肌触りや、甘酸っぱい汗の匂いや、オレンジの味のキスまでも読者さんに想起して頂く小説です。官能小説の読者さんは、言語優位者の男性ですから、ヒロインの外見描写も含めて楽しんでいます。
登場人物の名前を書かない人も多い。これはポルノ小説に限りません。日本語は主語を省略できる言語だからです。初心者の方の小説には、最後まで名前が出て来ないことさえあるんですよ。
名前もわからない、外見もわからないヒロインに魅力を感じることはできません。
オリジナルのジュブナイルポルノ2冊から、ヒロインの描写を引用します。
(「温泉旅姦」島津六著 引用はじめ)
温泉旅館の広い脱衣所で、栗色のショートカットを揺らして、武藤綾がはしゃいだ声を上げた。普段は気の強さを示すように目尻の切れ上がったアーモンド形の瞳が、今は喜びを湛えてきらきらと輝いている。うれしさを出し惜しみしない彼女の様子に、姉である武藤霞は柔らかな笑みで応える。華やかな造作の美少女である妹とは対照的に、姉は切れ長の眼に睫毛をけぶらせた涼しげな和風美人だった。(引用おわり)
(私はAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。)
ヒロイン二人の外見が、目にうかぶように書いてあります。綾はショートヘアの活発な女の子、姉の霞はしっとりした和風美人です。
(「奴隷エルフ解放戦争」内田弘樹著 引用はじめ)
アイシャ・トイブルグ・エルフィーナ。
宝石のような青い瞳は怒りとかすかな困惑に揺らめいていた。金色の髪は白い花びらのリボンでツインテールにまとめられて、素肌は雪のように白い。
彼女の出身地の伝統的な鎧装束を着ている。胸元は大きくはだけ、豊かな双丘を形作っている。ウェストからヒップへのラインはなだらかで、ため息が出るほど美しい。
何よりも特徴的なのは、先端が尖った耳。
彼女はエルフ族の娘だった。(引用おわり)
鎧を着たエルフ娘の描写ですが、顔形や身体つきをしっかりと描写してあります。
次に、なろう小説から引用します。投稿サイトのノクターンノベルズから書籍化されたものです。
(「異世界に転移させられた蕎麦屋が大商人になってハーレムを作る」くまくましい著 引用はじめ)
「ミジュさん!? みんなと帰ったんじゃないんですか!?」
「うーにゅー。さけがー、さけがたりんぞー」
ダメだ。
酔っ払いだ。
ハーフエルフの女性。
正直酔っているため顔が上気していて滅茶苦茶エロい。(引用おわり)
女性の外見の描写がほとんどありません。こちらのほうがわかりやすいと思う方もいらっしゃると思います。どちらがいいとか悪いとかではありません。
ウエブ小説にはウエブ小説の書き方があり、紙本のポルノ小説にはポルノ小説の書き方がありますよ、というだけの話です。
ポイントのおさらい。
・ヒロインを魅力的に書こう。
・登場人物の名前を意識して書こう。
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