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加齢現象

大学の最初の2年間、寮に住んでいた。なかなか面白い厳しい掟が満載の寮だった。三十数年前の話。

その時の友人ら4人と、今年に入ってラインで活発にやりとりをしている。そのうち、私と同室だった友人ともう1人とは、これまでもずっとやりとりを続けていた。が、あとの2人とは、社会人になって数年後以降ほとんど交流はなかった。

それが今、毎日のようにメッセージが行き交う。時差も手伝って、朝に夕に賑やかだ。

先日、田んぼに映る富士山の写真を送ってきてくれたのも、青大将らしき写真を送ってきてくれたのも、彼女たち。時には、田んぼにいる鴨の写真も。犬の散歩の時の景色や動画も。自宅の庭に見事な薔薇を育てている(のは、ご主人だそう)友人は、「今朝の薔薇」と言っては写真を送ってきてくれる。そう、富士山の写真の彼女は、最近はバードウォッチングにも興味があるそうで、時々、美しい鳥の写真も届く。「なんていう鳥だろうねぇ」、皆で書き合いながら、「私の俳句の先輩にも、ものすごい鳥ずきな人がいるの!」なんて、私も的外れなプチ自慢。

「毎日俳句を考えるようになって、田んぼの様子とかすごく意識するようになったわ。しょっちゅうググってる。」
と、私が書けば、
「私も、鴨なんて、いるな~くらいだったわよ。」
「景色を愛でる、鴨に気づく、薔薇園にも行くようになる。」

と、一言。
「加齢現象よ。」

なーるほど。そういうことだったのか。
年齢に拘わらず、花鳥風月に興味を持つ人はいるだろう。しかし、少なくとも私たちはそうではなかった。今、タイミングよく、皆でそろってそちらの方に目がいくようになってきたのだ。

こんな加齢現象だったら大歓迎だわと思う、今日この頃。
今、そのうちの友人の一人が元気がない。「加齢現象!」と言いながら、早くまたゲラゲラ笑い合いたい。

ふるさとの植田や鏡富士たたふ (季語:植田/仲夏)
五合目のマイナスイオン小満に (季語:小満/初夏)

(トップの写真は、今朝の富士山だそう。あ~たま~を~くぅもぉの~♪)