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✈︎ 俳句の鑑賞に挑戦【1】


noteで俳句に出会い、俳句幼稚園に入れていただいてから、丸三年が過ぎました。四年目の今年は、俳句の鑑賞に挑戦して参ります。

津川絵理子先生の句集『夜の水平線』(ふらんす堂)からの作品と、佐藤文香先生編著の『天の川銀河発電所』(左右社)の中の津川絵理子先生の作品を、今後定期的に一句ずつ鑑賞させていただこうと思います。


【第1回】『夜の水平線』より

底冷や落として遠き鈴の音

津川絵理子句集『夜の水平線』P.8


季語:底冷(三冬・時候)

厳寒の夕方、食品の買い出しを終えて駐車場に停めた車に乗ろうと、自分の車に向かいながらバッグの中の鍵を探します。悴みそうな手でやっと掴んだ、鈴のついた車のキーが、手から滑り落ちてしまいます。日の落ちた寒空の下、冷え冷えとした路面へ落としてしまったキー。買った荷物で手が塞がれた状態で、しゃがんでキーを拾うのは容易ではありません。「今日は朝から、どうしてこうもうまくいかない事ばかりなのだろう」と、泣きたいような気持ちにさえなります。鈴の音は作者のすぐ近くの足元でしたはずなのに、はるか遠くで、冷たく響くように聴こえたのではないでしょうか。一層の寒さが体の芯まで響くようです。

初見では、ひとけのない山里の景が浮かんだのですが、具体的に想像していくうちに、自分自身が経験したことのあるような、このような景が浮かんできました。

「落として遠き」と平易な言葉遣いでありながら、これ以上にぴったりの表現も語順もないと思われる措辞に、とても惹かれます。


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俳句幼稚園の紫乃さんの、俳句の鑑賞の記事を参考にさせていただきながらの、第一回目の鑑賞でした。大変におぼつかない鑑賞ですが、少しずつ、自分なりに深く鑑賞できるようになっていけたらと思います。楽しく自由にチャレンジしてみます。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。