Photo by fraisebonbon 第70回角川俳句賞贈呈式 受賞の挨拶 42 若杉朋哉の俳句帳 2025年1月26日 22:33 2025年1月26日(日)の午後、ところざわサクラタウンの角川武蔵野のミュージアムにて、第70回角川俳句賞・角川短歌賞の贈呈式が行われました。受賞者とその親類縁者、選考委員、角川関係者、出版関係者のみの比較的クローズドな式でしたので、贈呈式での私の受賞の挨拶をここに共有したいと思います。以下、スピーチ原稿です。若杉朋哉です。この度は角川俳句賞を授与くださり、誠にありがとうございます。選考委員の皆様、角川俳句賞の関係者の皆様、そして日頃から私の俳句を温かく見守ってくれている妻と息子に、心より感謝を申し上げます。本日は角川俳句賞について、一つ話したいことがあります。それは昨年の十二月末に亡くなられた、句友の後閑達雄さんにまつわることです。二〇二一年度版の『角川俳句年鑑』、その冒頭に「二〇二〇年一〇〇句選」という岸本尚毅さんが選をされたものがあるのですが、その中にこんな句がありました。〈畳見て畳拭きをり盆用意〉。作者名は後閑達雄とありました。私はその句に大変感銘を受け、当時まったく面識もなかった後閑さんに手紙を書きました。後閑さんの俳句に大変感銘を受けたこと、そして、素晴らしい俳句をありがとうございましたと、そんな手紙だったと思います。すぐに後閑さんから返事が来て、後閑さんとはそれから、ショートメールやラインでのやり取りをするようになりました。後閑さんは角川俳句賞にとても熱心に取り組まれていました。毎年五月の締め切りが近くなると、「角川俳句賞に応募しました!」とか「若杉さんは角川俳句賞、応募しましたか?」といったメッセージが来ました。角川俳句賞が発表になると、「予選通過しました!」「今年は十句選に載りました」といった内容が送られてきました。そして今回、私が受賞したことを知ると、真っ先に、「角川俳句賞、おめでとうございます!」というメッセージをくださり、忘れもしない十月二十九日(火)、後閑さんの行きつけの柏のカレー屋で、角川俳句賞の受賞を祝ってくださいました。そこでも後閑さんとは角川俳句賞の話で盛り上がり、次は自分が角川俳句賞を取るんだと、だから俳句の並べ方とか、何かアドバイスをしてほしいと、そんなことを話されました。とにかく後閑さんは角川俳句賞が好きでした。角川俳句賞というと、後閑さんを思い出します。その後閑さんが亡くなられたこと知ったのは、今年の一月七日。ふらんす堂の山岡さんのツイッターで、でした。昨年の十二月二十五日に亡くなられたといいます。信じられませんでした。亡くなられる直前の十二月二十一日にも、後閑さんとはラインで普通にやり取りをしていましたし、元日には後閑さんから年賀状が届いていたからです。そこには「今年も俳句のお話、聞かせてくださいね」と書かれていました。もうそのときには後閑さんは亡くなられていたのですね。「年賀状ありがとうございます」と、ラインでお礼のメッセージを送りました。後閑さんの場合、いつもすぐに既読がつくのですが、いつまでも既読になりませんでした。後閑さんが毎年熱心に取り組まれていた角川俳句賞。どうしても取りたいと願っていた角川俳句賞。それを今回、自分は受賞しました。後閑さんが亡くなられたことを知ってから、角川俳句賞の重みというものを一層感じました。後閑さんのためにもとか、そういうことではありません。そうではなくて、むしろ、「後閑さん、俺はやりますよ」という気持ちです。「後閑さん、見ていてください、俺はやってやります」という気持ちです。自分がいいと思う俳句。自分がいいと信じる俳句を精一杯、力強く作り、世に示していきたいと思います。今年はありがたいことに、角川の『俳句』誌において、たくさん俳句を発表する機会をいただいています。その機会を活かして、自分がいいと思う俳句、自分が心からいいと信じる俳句を作り、発表し、角川俳句賞作家として恥ずかしくない仕事をしていきたいと、そう強く決意をしています。選考委員の皆様、角川俳句の関係者の皆様、そしてこの会場にお越しになられた皆様、今後とも若杉朋哉をどうぞよろしくお願い申し上げます。長くなりましたが、以上をもちまして、受賞の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 歌壇・俳壇の登竜門 第70回 角川短歌賞・角川俳句賞贈呈式を開催! | 顕彰 | ニュース | 公益財団法人 角川文化振興財団 2025年1月26日(日)角川武蔵野ミュージアムにおいて、「第70回角川短歌賞・角川俳句賞」の贈呈式を行いました。 第70 www.kadokawa-zaidan.or.jp ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #俳句 #角川俳句賞 #若杉朋哉 #後閑達雄 42