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私が家をつくる理由

こんにちは。
noteにもちょこちょこと書いているのですが、いま住宅を設計しています。
(具体な設計作業などについてはこちらに:note

設計を個人としてやっていることもあり、その検討過程で、
・自分が家に感じている価値とは?
・自分は建築家としてどんな価値を提供できるのか?
・自分の設計に理念とは?

について考えています。
今なお考え続けていて、たぶん設計しながらまだまだ考えていくのですが、今日は現状の自分の考えを残しておきたいと思って書いています。


なぜこのテーマ?

冒頭に書いた通り、設計している中でよく思うんです。
自分は、自分がつくる家を通して、何を表現したいんだろうか?と。
勿論、暮らせる家を作ることは最低限当たり前なのですが、「建築家」と呼ばれる方々にはそれぞれ一貫した思想があり、それが各々の敷地に合わせて具現化されたものが建築なわけです。
(ほんとにざっくりとした言い方ですが)

自分個人の思想

そう考えると、自分の思想とは何だろうか?と考えています。
こういうことって、きっと会社員に比べれば、建築学生時代の方がよく考えるものでしょう。私が学生の頃は、人の認識を分析して評価すること、に興味がありました。最終的にはそれを設計に戻せないだろうかと。
言い訳なのですが、論文を書いて卒業したこともあり(勿論自分が未熟だったこともあり)、自分の中でそれをどう設計での造形ないし自分の理念に落とし込むか、考えられてなかったんですよね。
(補足:建築学科には卒業論文を書いて卒業するか、卒業設計をして卒業するか、選考によっても大学によっても異なります。両方あったとしても、比重が違ったりもします。)

一方、建築に限らない自分の信念(というほどでもないかもしれませんが)としては、「環境で人は変わる」と思っていることです。
人に影響を与えるものとして、「環境」や「自分の意思」といった要素があるときに「環境」の要因が大きいのではないか、と感じているのです。
自分を変えたかったら、環境を変える方が早いと。失恋したら髪を切るとか、心機一転引っ越すとか、海外を旅して価値観が変わるとか言われるのも一種そういうことだと思っています。
自分の実体験としても、受験して学校が変わったり、海外生活、一人暮らし、引っ越し等の環境が変わるたびに、自分がアップデートされるような気持ちになりました。

建築や家だけでない「環境」の話をしてきましたが、毎日過ごす「家」もそういった「環境」の中で大きな要素の一つだと思っています。
「家」って、一人暮らしなのか誰かと住んでいるか、賃貸か持ち家かとかの違いはあれど、自分の価値観が反映される場所じゃないですか?
自分の価値観を見直す場所でもあり、何が大事で、どういう生活をしたいか?を反映できる場所でもある、と。

私自身、自分の価値観から家を選択してきました。
今の家も「自分はどんな暮らしがしたいか?」からイメージを考えたり、必要な条件をリストアップして家を決めてます。引っ越しを経て暮らし始めると、その理想を具現化しているような感覚でした。

実は、こういった自分の思想は自分のコンプレックスからくるものでもあって。私の実家は、(何度か引っ越しをしたのですが、)家が広かろうと新しかろうと、いつもモノで溢れていたんです。それが本当に自分にとって居心地が悪かったんですよね。
そういったこともあって、かっこいい形の家を作るだけでなくて、ちゃんと住む人が維持管理して育てていける家、(自分の価値観に合った暮らしやすい家)にしないとと思ったわけです。

設計者としての思想

そんな自分が誰かのために家を作るとしたら、自分の居場所だと思えるような家づくりに寄り添う人になりたいと思っています。
居心地がよかったり、住む人が自分の生活をアップデートできるような空間を作りたい。家具の選び方、動線・収納など、お客さんに合った暮らし方のスタイルも提案したい。
最近そんな気持ちで設計をしています。

これって、建築を設計しなくてももっと手軽なこと(例えば、片付けとかインテリアの提案とか、整え方のレクチャーとか)でもできるとも思うんですが、そこは建築が影響力として一番強く、デザインの幅も広いと思っています。(逆にそういった小さな取り組みもしていきたい)

ところで、今一緒に設計をしている知人は、設計で「体験を生み出す」を大事にしているそうで。設計者の思想もさまざまですね。

空間・設計への落とし込み

ここまでずっと考えの話をしてきましたが、最後に具体的な形や空間イメージについて。
自分が家に欲しいな、と思う空間や体験はこんな感じです。

・住み手の価値観が反映されたデザイン
・色んな居場所を持てる
・外部を感じられる(光の移ろい / 風 / 緑 / 眺望など)

こう書いていると、やっぱり内外境界の設定って大事ですよね。

今後に向けて

はじめに書いた通り、このテーマについては引き続き考えていくつもりですし、その中で自分の思想と空間のイメージをもっとリンクさせて個性にしていきたいと思ってます。
そのためには、こんなことを考えたり学んだりするといいのかもしれないですね。

自分の内省
・家の具体的に何に価値を感じていて、何に不満を持っているのか?
・どんな家は好きでどんな家は好きでないのか?
・どう家に向き合える仕事ならいいのか?

歴史に学ぶ
・名作住宅とその歴史・批評に学ぶ

中でも「自分が良い」と思うものの分析は大切だろうな、と思っています。
自分でも家を設計している今、色んな家から学んでみることで、今まで見たものでも違った角度で見えてきそうだな、とも。パースや構成スケッチから学んでみるのもやってみたい。
設計をしながら、引き続き考えていこうと思います。

たまにはこういった自分が思考している過程も残しておこうと思って、今日はめちゃくちゃ個人的な内省・考え事noteでした。
読んでいただきありがとうございました :)

それでは


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