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ぽんこつでも、そこにいていいよ
移住記録です。先月は名前の話をしました。
今は、対外的には「竹口和香」として生きています。
ある日の出張先にて。「もしもし、課長?車が動きません」
何をやってもだめな日がある。その日は隣の豊岡市にひとりで車出張だった。仕事に支障が出る、と焦って運転練習したおかげか、行動範囲が広がり自由に仕事を作れるようになった。うれしい。
豊岡市役所でまちづくりの話を聞いて、ほくほくした気持ちで駐車場に降りたら、鍵が開かない。差し込みで車が開いたので、ほっとしてエンジンをかけようとしたら、エンジンがかからない。
車のことは無知なので「やータイミング悪くキーの電池が切れちゃったかぁ」と思いながら、お腹がすいたのでのうのうとカフェでカレーを頼んだ。課長に電話をすると、「それ、バッテリー上がってるね」と言われ、車に無知な私は「はぁ」とか曖昧な返事をして、課長の指示を待った。
結局豊岡市役所の方が助けてくれて「車のライトつけっぱなしにするとバッテリーが上がるんだよ」と教えてくれ、ようやく自分の過失で車が動かなくなったことに気づく。「気を付けて帰ってくださいね〜!」と出口まで見送ってくれた救世主に手を振り、無事帰路にたった。
役場に戻るとみんなにやにやと笑いながら「おかえりなさい」「帰ってこれてよかったねぇ」と言ってくれた。「ほんっっっっとすいません」と私も謝りながら笑ってしまった。「誰かがやらかすたびに公用車が綺麗になっていくわ」と笑ってくれた課長に救われた。はぁ、ホームだ。あたたかい。
やれやれとデスクについて事務仕事につくと、今度はスマホがない。バッテリー交換をしてもらったばかりの公用車を見に行ったが、ない。
「課長、スマホなくしました」
課長はまたにやにやして「電話かけようか?」「最後どこで見た?」と言った。「ちょっと昼のカフェにかけてみます」
「あっ、スマホですか?ありますよ!」
電話越しに聞こえた。なんてこった。
「今豊岡にいるメンバーがいるから取ってきてもらうよ」と課長が手配してくれ、代理で店まで取りに行ってくれることになった。なんだ今日は?ぽんこつすぎないか?どうした私?
代理で受け取ってくれたという方は、家までスマホを届けに来てくれた。丁寧に封筒に入れて。
ぽんこつすぎる。ぽんこつすぎて笑ってしまう。でも、そうやって笑えるのも周りのみんなのあたたかさのおかげだ。
きっと数ヶ月前なら「やらかした、明日から職場行きたくない、、」と落ち込んでたはずで。それが、「迷惑かけたけどみんな笑ってくれてしあわせだった」という思い出になった。とんだ変化だよ。
まだ5ヶ月だけど、私がここで生きていた証みたいなのが見えた気がした。ここが私の仕事場で、私の居場所なんだ。
この文章は、出発前の電車の中で書いている。スーツケースをがらごろと引いていると、近所のおばちゃんが「送ったるわ」と駅まで車で送ってくれた。
私、この町で生きてんだ。この町が居場所で、ちゃんと安心して暮らしてんだ。
町を信頼して暮らすというのは、生まれて初めてだな。この町が、派手でなくてもいいから、この地の人が生きていくくらいの、持続可能なものであってほしい。
小さな町の、愛の波動のお話でした。
地域活性化起業人
竹口(佐々木)和香