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【けもの道のコーチング】行動はすべてスキル(スキルを身につけるステップ)

1.スキルって何?

 「コーチングはスキルである」
 よく言われる言葉です。

 「コーチは、スキルを身に着けよう」は正しいとも思うし、
 「コーチのあり方が大事」がコーチングの本質だと思ったりもします。

 ここで、「スキルって何でしょうか?」

 スキルとは?
 訓練や経験などによって身につけた技能。ある人が有している力量や技術。腕前。熟練

大辞林

 とありました。

 達人にスキルがあるのは知っています。
 身につける方法は、大辞林によると「訓練や経験」だそうです。
 よくわかりません。

 どこか昭和時代の部活や武道の寒稽古(※1)などを思い起こさせます。

※1「昭和時代の部活や武道の寒稽古」を否定的に書きましたが、
 「道場に行き、師匠の言うままに素直に体を動かす」
 のも、スキルの身につけ方の一つです。
 うまくいく場合もあるのですが、個人差やレベルの差がある場合、適切かどうか研究していない人の場合は、身につかなかったり、むしろ害悪なこともあります。
 そして、これを認めると、「これまでのやり方を変えなくてもいい」となります。「変えない」のは、新しいことを考えなくてもいいので楽です。人は楽な方に流れます。

 個人的な感想ですが、

 そんなことはやりたくない!

 私が知っている範囲ではありますが、コーチングの聴くスキルを例にとると、
 これまでは、

『聴くスキルを身につけるために』
 上手な人の実際の会話の場での使い方を見てイメージを作った後で、
 例えば、「ハの字に座って、共感しながら話しが終わるまで聴き、要約したり聴き取ったキーワードを伝えます」などとやるべきことを教えます。
 練習の場では、観察者がよかった点、改善点をフィードバックします。

 という流れで、練習していきました。

 これでは、言われたことだけをする人(忠実に守る人)がいて、
 できる人は上手にできて自信になり、
 できない人は欠点ばかり指摘されて「自分には才能がないのだろう」と自信を喪失していきます。

 第一、「やるべきこと」を教えられるばかりで、それが本当に必要なのか、どの程度必要なのか、具体的にどうするのか、ほかにはないのかなど、自分の感情に寄り添う言葉に翻訳するタイミングがありません。
 学校の授業のようです。さらに簡単な説明の後でその場でできたかどうか評価されるのは、苦手な人にとっては逃げ出したくなるやり方です。
 どこか、自分の気持ちを放ったらかしにされたようにも感じます。

 「スキルを身につける」意味では、これで十分な人もいるのでしょうが、何かが不足しているようにも感じます。


2.フィンランドでは何でもスキル!

 スキルについては、面白い話があります。

 フィンランドに移住した社会学者の朴沙羅の著書『ヘルシンキ 生活の練習』によると、
 お子さんが通う保育園の担任から『「友達の作り方のスキル」を学ぶ』と言われたそう。
 確かに、どうやったら友達ができるか具体的に考えて、練習したらうまくなるだろうから「スキル」と言ってもいいだろうけれど、そんなことを考えたこともなかったとのこと。

 「子供だけで眠る」のもスキル
 「怒り方」もスキル
 「嫌なことがあっても物を投げない」スキル
 「使ったおもちゃを片付ける」スキル など

『ヘルシンキ 生活の練習』より抽出

 すべてスキルとします。
 スキルだったら、練習して身につければいいだけです。

 スキルを身につけるまでの方法も書いていました。

 「『子供だけで眠る』スキルを身につけるまでのステップ」を参考に、3つのステップで説明します。


[ステップ1]・・・何をするか話し合って決める。

・1週間くらい前に、これから起こる新しいプロジェクトについて相談して決める。

・スキルが複数の連続した動作の場合で、それぞれがまだできない時には一つずつに分けた方がいい。
 すでにできている動作の組み合わせの場合は、何を、どのような順に、どうするか、相談して決める。

・このプロジェクトが完遂したら、関わる人すべてにどんないいことがあるかを伝えあう。シンプルにはっきりと。

・スタート前に、何度か「どんないいことがあるか」などをリマインドして、気持ちを盛り上げる。

[ステップ2]・・・スタートしたら、ひたすら実行する。

・前日までは盛り上げるけれど、当日は淡々と普段の日常をする。

・そのほかの習慣や順番は一切変えない。

・そのタイミングになったら、さも昔からそうだったかのように実行する。

・渋ったり、止(や)めようとしたりしても、断固として実行させる。

・それでも、何度も止(や)めようとしてくるだろうけれど、断固として実行させる。

・毎日ひたすら繰り返す。

[ステップ3]・・・まだスキルを身につける途中でも、やってきたことを自分で認める。

・1日できたら、できたことをほめる(承認する)。

・3日、1週間、2週間など、節目に、できたことをほめる(承認する※2)。

※2「承認する」とは、
 すべてを見ていたことを伝え、やり遂げた事実の証人になるとも伝え、やっていた時に何を感じ、何を考えていたように見えたか伝え、やり遂げたことを実感してもらうこと。

以上、『ヘルシンキ 生活の練習』
「『子供だけで眠る』スキルを身につけるまでのステップ」をベースに加筆


3.スキルを身につける時に注意すること

 なんとなく予感がされるでしょうが、
 これは、コーチングでクライアントがスキルを身につけるときのステップと同じです。

 それぞれの時の注意点としては、

[ステップ1]・・・何をするか話し合って決める。

・親子の場合の親に相当する人は、相手に代わって勝手に目標設定しがちです。最初に要望を伝えたら具体化する段階では、「正しい提案」であっても話す量を1割以下にしましょう。

・必要なことはすべて挙げましょう。

・何気なく、普通に、常識的にやっていることも すべて 言葉にしましょう。できるだけ実行するときのイメージが違わないようにしましょう。

・2つのやることを選ぶとき、スキルのためにどちらでもいいことは、身につけたい人が判断しましょう。

・「どんないいことがあるか」まずは、実行する人が実現したいこと。そして、実行する人が心から喜べるどんないいことが起こるか、関係する人にもどんないいことがあるかを実感を持ってイメージしましょう。

[ステップ2]・・・スタートしたら、ひたすら実行する。

・親子の場合の親に相当する人も子に相当する人も、突発的なことが起こっても、ひたすら決めたことを実行しましょう。

・本当に想定外なことは、かなり稀です。起こりそうなことは、[ステップ1]の時に用意しておきましょう。

・親子の場合の親に相当する人は、監視するのではなく、観察しつつ共感しましょう。

[ステップ3]・・・まだスキルを身につける途中でも、やってきたことを自分で認める。

・やってきた事実はあるし、わずかでも身についたスキルがあります。それを伝えて認めましょう(承認する)。成功するまで承認しなければ、大半の人が脱落します。

・承認する(子供には「ほめる」)のは、やってきたことを実感するために必要なことです。

・親子の場合の親に相当する人は、次なる目標を言いたくなりますが、実行する人しか言う資格はありません。


 心がけだけではスキルは身につきません。具体的にしていきましょう。

 そのスキルを本当に身につけたいと願っているか、つけたスキルで何を実現したいのか。
 相手の「実現したい気持ち」を盛り上げるために問いかけましょう。
 悪気がないことを免罪符に「疑う言い方」「揺さぶりの言い方」をする人がいます。「なにくそ」と思わないと、と。そんなことでスキルを身につけたい人の気持ちを試す必要はありません。素直に盛り上げましょう。

 目標を考え決めることも、決断も、他人がすることはできません。他人がしてはいけません。

 親子の場合の親に相当する人は、「してあげる」という気持ちになります。呼吸するかのように何の疑いもなくしがちです。子とは言え、軽く扱いすぎるのです。


4.どんないいことを起こしそう?

 こういった文章を書く、定期的に書く、運動習慣を作る、最適な食事を摂る など、すべての行動はスキルです。もしくは単純な行動のスキルに分解されます。

 スキルであれば、何をするかわかり、練習して上達できます。

 自分にとって「どんないいことがあるか」
 関係する人にとって「どんないいことがあるか」

 両方を必ず実感しましょう。サポートする人は、同じイメージを持ちましょう。

 どうしても続けられなくなったらやめてもいいのです。これは本当です。
 でも矛盾するようですが、「やらない言い訳」「やめる言い訳」が最初の段階で思いつくのであれば、
 「やらない言い訳をする自分」「やめる言い訳をする自分」を十分納得させて、自分をノリノリにさせてからはじめましょう。

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