寺院数は人口比で京都より多い⁉ 敦賀の全貌に迫る【福井県敦賀市を発掘!】
敦賀市といえば氣比神宮のまち。つまり神社のまち、と思っている方が多いと思いますが、実際にまちを歩いてみると、そこかしこでお寺を見かけます。
あれ?もしかして、敦賀って実はお寺のまち⁉
そんな疑問を抱いてたどり着いたのは、日本最古の神宮寺の流れをくむお寺でした。
そのお寺には、敦賀に熱い思いを抱くご住職がいて…。
これまでの敦賀市発掘では、一番の有名どころである氣比神宮の境内はスルーし続け、門前など神社周辺を歩いて数々の魅力を発見しましたが、
今回の発掘では、歴史や文化、人々の気質などなど、敦賀の魅力の原点は氣比神宮なのでは?という答えにたどり着きました。
一体どういうことなのか、
敦賀市役所の岡本さんと一緒に発掘に出発です!
700年以上の歴史があるお寺を発見!【善妙寺】
(前回の記事で)寝具などのお店『タニグチ』さんで「お宝がいっぱいあるらしいよ(笑)」と教えてもらったので、『善妙寺』さんにやってきました!
門を入ると2階建ての建物があり、2階部分が本堂になっています。
この中にお宝があるのかな??
迎えてくれた吉川ご住職によると、こちらのお寺は江戸時代の終わり頃までは天筒山(善妙寺から北に1.5㎞ほどの場所にある山)の中腹にあったそう。
吉川住職「私は見たことないんですけどね、今でも天筒山のどこかに『善妙寺』と彫ってある石碑が倒れているって聞いたことがありますよ」
それ、気になります!
探しに行ってみたいな~!!!
天筒山には『山の神神社』という神社があるのですが、善妙寺にも山の神神社がおかれています。
かつて善妙寺が天筒山にあった名残でしょうか?
お寺と神社が同じところにあるというのはちょっと変に思うかもしれませんが、明治時代に神仏分離令が出されるまでは、神仏習合といって、神道(神社)と仏教(お寺)が同化して信仰されることも珍しくはありませんでした。
…それで、お宝は…?
吉川住職「お宝というか…、戦時中に本尊の阿弥陀如来像などを檀家さんのところに逃がして、戦禍を免れたということはありました」
それって、見せていただくことはできるんでしょうか?
吉川住職「どうぞどうぞ」
おお~!!!金ぴか!!
の真ん中に、阿弥陀如来像も見えますね。
浄土宗の教えは、「南無阿弥陀仏」を唱えれば死後に極楽浄土に行けるというもの。
この金ぴかの空間は、阿弥陀如来様のいる極楽浄土を表しているんだそうですよ。
そして、こちらも気になりました!
菊の御紋!
菊の御紋といえば皇室の紋章ですが…。
吉川住職「うちはもともと氣比神宮の神宮寺で、760年前に神宮寺から分かれる形で善妙寺ができました。
その時の初代住職が天皇陛下のお孫さんだったので、その時から菊の紋を使っています。
戦前は菊の紋を使うと不敬罪になることもありましたが、ここは大丈夫でした」
天皇家と関係のあるお寺って!!
想像以上にすごいお寺だったみたいです。
吉川住職「皇室に関係のあるお寺はほかにもありますけど、菊の紋を使う場合、だいたいは遠慮して葉っぱを付けたり少しデザインを変えていますね。でも、うちはそのまま菊の紋を使っています(笑)」
突然の訪問にもかかわらず、快くお話をしてくださった吉川ご住職のおかげで、善妙寺の歴史に触れることができました。
観光スポットになっていないお寺の歴史や物語って、なかなか知る機会が少ないので、今回こうやってお話を伺うことができて本当に良かったです!
あの安倍晴明が祀られている人気の神社!!【晴明神社】
善妙寺から海のほうに向かって7~8分歩くと、現れたのは『晴明神社』!
そう、あの陰陽師・安倍晴明が祀られている神社です。
聖地巡礼のような形で全国から安倍晴明ファンが訪れる人気の観光スポットでもあるんです。
陰陽師というと呪い?みたいなイメージがあるかもしれませんが、れっきとした朝廷の官職のひとつ(今でいえば公務員!)で、その役職は、天文学や科学などの学問を取り入れながら祭事の日の吉凶などを占うものだったそうです。
実は福井は安倍晴明とのご縁が結構あって、例えばおおい町には長らく安倍晴明の子孫が住んでいたこともあるんですよ!
▼おおい町で安倍晴明をたどった発掘の様子はこちら
で、
この晴明神社は安倍晴明とどんなつながりがあるのかというと、
安倍晴明は4~5年の間、この地で天文学や地文学の研究をしていたことがあり、その際にこの場所にあった、神祠にお参りしていたそうです。
そして、その頃に占いに使っていたという石が、こちらの祈念石!
祭壇の下にあって、小窓から覗き見ることができます。
石の上にお金を載せられれば願いが叶うらしく、
この石のおかげで願いが叶った!と、再び県外から来訪した方もいるそう。
それはやらなきゃ!
ってことで、早速挑戦!
意外と難しいんですが、3人で4回挑戦し、2回成功!
「フリスビーのような投げ方をするとコントロールしやすい!」と成功者は言うので、試してみては?
(夢中になって小銭を使い果たしそうになるのでご注意を笑)
ただし!
この神社、普段は閉まっていることも多いそう。
(今回はたまたま開いていました!ラッキー!!)
土日は開いていることが多いそうですが、開いていたらラッキー!くらいの気持ちでお出かけください!
日本最古の神宮寺には熱いご住職がいた!【本勝寺】
さて次はどこへ行こう?と歩いていると、『本勝寺』というお寺を発見!
追討軍に降伏した水戸天狗党が収容されていたという歴史もあるお寺です。
若新プロデューサー「敦賀って神社とかお寺多くない?」
確かに!
本勝寺さんがあるのは、善妙寺と晴明神社の間くらい。
善妙寺は氣比神宮にも近いですし。
あとで調べてみると、氣比神宮の門前500m四方の中に、少なくとも14のお寺があることがわかりました!(Googleマップ調べ)
お寺って、そんな都会のコンビニみたいにあっちこっちにあるものだっけ⁉
もしや敦賀のお寺ってなんだかすごいんじゃない?
という期待をもって、本勝寺さんを突撃!
出迎えてくれたのは桃井ご住職。
なんと、寺井隊長の中学時代の生徒指導の先生だそう。
生徒指導って聞くとびびっちゃいますが、とっても気さくな方で、ホっ(笑)
早速、敦賀散策で出てきた疑問をぶつけてみました。
「敦賀って、お寺が多くないですか?」
桃井住職「よくぞ聞いてくれました。敦賀には110以上のお寺があると言われています。僕調べでは127なんですが。
寺社仏閣が多いと言えば京都ですが、京都市内にお寺は1700。数では及びませんが、実は人口比では敦賀のほうが多いんですよ。
京都がうらやましいって思いがちですが、敦賀の人間としては、見方によっては京都よりもすごいで!って思ってます」
敦賀市の人口は6万人ちょっと。京都市は146万人なので、やっぱり敦賀市のお寺の数には目を見張るものがありますね!
桃井住職「しかも、敦賀には日本最古の神宮寺があったんです。
かつての本勝寺もそのひとつでした」
善妙寺もかつては神宮寺だったと言っていましたね!
神宮寺とは、神社に付属して建てられたお寺のことで、まさに神仏習合の思想に基づいたもの。
日本最古の神宮寺は氣比神宮寺で、その成立はなんと715年とのこと!
京都がまだ都ではない時代だと考えると、やっぱり敦賀ってすごい!って感じがしますね。
桃井住職「なぜ氣比神宮寺ができたかというと、当時の日本の中心にいた藤原氏が命じたと言われています。
そういう人が、敦賀を重要な場所だと認識していたってことも大事なポイントだと思います」
聞けば聞くほどすごい!!
「でも、どうしてお寺が多いんでしょうか?」
桃井住職「まず、1200~1300年以上、敦賀にお寺があり続けていることがすごいですよね。
そしてそれを守った人がいるからこそ、これだけの数のお寺が今に続いているんだと思います。
つまり、敦賀の人は信仰心があって、先祖や神仏を大切にする優しい人が多いと僕は考えています」
そういった敦賀の魅力を伝えたいといった想いから、かつての神宮寺の流れをくむ6つのお寺が集まり、角鹿会がつくられました。
一般の方も参加できる勉強会を開き、それぞれのお寺の歴史などを紹介しているそうです。
桃井住職「これから新幹線も通るので、観光客の方には、お寺を入り口にして敦賀を味わってほしいです。
お茶やお華など、お寺発祥の文化はいろいろあるので、そういったものも一緒に楽しんでほしいですね」
敦賀といえば氣比神宮!と思っていましたが、そこから派生したお寺の数々も見逃せないですね!!
氣比神宮の存在によって、お寺をはじめ、敦賀のさまざまな歴史や文化がつくられていったのかもしれません。
お寺巡りの合間に立ち寄りたい!お食事&カフェスポット
敦賀にここまでお寺が多いと知ったからには、たくさんのお寺を巡ってみたいですよね。
御朱印集めも捗りそう!
ということで、最後はお寺巡りの合間に立ち寄りたいお食事&カフェスポットを簡単にご紹介します。
氣比神宮に祀られている地下水を使った絶品和菓子も!【小堀日之出堂】
まずご紹介するのは、明治34年、北陸初の洋菓子店として創業した歴史あるお店『小堀日之出堂』さんです。
洋菓子店のお隣に和菓子工房とイートインスペースがあり、作業風景を見ながら購入したお菓子などを食べたり、コーヒーやお茶などを飲んだりすることができます。
私たちは気比だんごを注文!
定番のみたらしやこしあん以外にも、こんぶ、かつお節などいろいろな種類があるので迷っちゃいましたが…
ごまあん、つぶあん、のりをみんなで食べました!
外にはテラスもあるので、天気のいい日はお外で食べるのもいいですよ!
ちなみに、氣比神宮には長命水と呼ばれる地下水が祀られています。
古より、長命水の水源がこの門前町(神楽一丁目商店街)の地下を流れていると言われており、こちらのお店では、地下から湧き出る清水を店頭で使用しています!
夏は長命水の中で冷やされた水仙まんじゅう(敦賀の夏の名物!)、冬は長命水を使った水ようかん(福井では水ようかんは冬に食べます!)も販売しているそうです。
昼から飲めちゃうそばカフェ【マツニタカ】
手打ちの本格そばと、ガレット(そば粉のクレープ)やクレープが楽しめるお店です。
もちろん使っているそば粉は福井県産!
私はガレットをいただきましたが、カリッカリでそばの香りもしっかりして、とってもおいしかったです。
ドリンクも豊富で、お昼でもアルコールメニューがあるので、ちょっと1杯♡もできちゃいますよ。
入口を入ってすぐがカウンター、2階はテーブル席になっています。
カウンターの目の前にある棚の扉がすごく素敵で印象的でしたが、よく見ると、松と鷹の細工があしらわれているんですよ!
これが店名の由来だそうです!
築100年の古民家でコーヒーやお茶を楽しむ【珈夢】
築100年、もともとはお茶屋だった古民家を改装したおしゃれカフェです。
奥は座敷になっているので、ゆ~ったりくつろげますよ!
ドリンクはコーヒーだけでも20種類以上!
コーヒーは自家焙煎で、豆は店内でも販売しています。
さらに、抹茶やハーブティー、紅茶など、さまざまな種類があります。
スイーツも、ぜんざいなどの和甘味、ケーキ、パフェ、アイスクリーム、自家製ゼリー・プリンなどさまざまなものがあるので、和風好きも洋風好きも満足できるはず!
若新プロデューサー「岡本さんは敦賀出身でしょ?やっぱり学生時代はこういうところにデートにきてたの?」
岡本さん「…そうですね。女の子を連れてくるならここ!というくらい定番のお店です!」
だそうです!!
この日も、月曜日にもかかわらずお店はほぼ満席。
人気のお店であることがうかがえました。
神社のまちでお寺めぐりしたら、まちの全貌がみえてきた…かも
敦賀といえば氣比神宮!と思っている方も、実はお寺の数は人口比では京都を凌駕するので、お寺めぐりも楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回私たちがたまたまたどりついたお寺は、どちらもかつての氣比神宮寺であり、神宮寺としては日本最古ということでした。
なぜ氣比神宮に、日本最古の神宮寺ができたのか?
それは、当時の日本の中心にいた藤原氏が命じたから。
つまりそういう人物が、敦賀を重要な場所だと認識していたということ。
そしてさらにすごいのは、それらの神宮寺(現在はお寺)やほかの数多くのお寺が長い歴史を経て今に続いていること。
それはなぜか?
本勝寺の桃井ご住職は、「敦賀の人は信仰心があって、先祖や神仏を大切にする優しい人が多い」からと考えています。
その原点は、やはり氣比神宮の存在なのではないかと、私たちは考えます。
「氣比神宮は定番すぎるから、それ以外の魅力を探しに行こう!」と意気込んでいましたが、
敦賀の魅力は、氣比神宮の存在によって形成された歴史や文化や、敦賀の人々の気質であり、
敦賀の原点は氣比神宮なのではないでしょうか。
敦賀には、かつての氣比神宮寺の流れをくむ6つのお寺(善妙寺、本勝寺、本妙寺、永賞寺、妙願寺、金前寺)が現存しています。
それぞれのお寺はだいたい250m間隔くらいで配置されているので、カフェに立ち寄りながら、お寺めぐりをしてみてはいかがでしょうか?
金前寺はちょっとだけ離れているのですが、敦賀市内にはシェアサイクルもあるので、こちらを使うのがおすすめです!
また、着物レンタルをしているお店(きものレンタル彩)もあるので、着物に着替えて街歩きしてみるのも楽しいかもしれませんね!
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