水を飲めば水の味がする
人類滅亡まで「残り90秒」。
これは、人類が生み出した技術によって引き起こされる、世界破滅への切迫度合いを時計に表したものです。深夜0時を人類滅亡と見立て、危機が高まれば針を進めて残り時間を短くし、逆に、危機が遠のけば、針を戻して残り時間を延ばすというものです。これを終末時計といいます。
終末時計が始めて公表された1947年には残り7分でした。それが昨年、90秒まで迫りました。このまま、外の世界に幸せを求めるには、限界があるように思います。
最も美味しいお茶の淹れ方は、おそよ60℃のお湯で一番茶を淹れるそうです。甘味があって絶品である。二番茶は、80℃。少しにがいお茶になります。しかし、このにがく熱いお茶が、味わい深くて美味しいという人もいます。次は、90℃で淹れる三番茶。色は付くがまったく味がしません。これを出がらしと言います。さすがに好きな人はいないと思います。ところが、千利休は、この出がらしのことを「淡味」と呼び、「淡味が分からなければ、人生の味わいは分からない」と言いました。
中山みき様(おやさま)は、明日食べる米がない困窮の中、
と仰せられました。何も味付けされていない外の世界に対して、内側の自分はどう感じているか、そこに幸せの本質がある、と教えらました。
自分が嬉しいという現象を求めるのではなく嬉しいと思える自分をつくっていく。絶体絶命に直面しても、自分の心の中に「ありがたい」という気持ちを浮かばせるのです。
これこそ信仰の成せる業だと思います。
(礒田真祐)