【エッセイ】新しい靴を履いて向かう映画館への道のりは足取りが軽くなる
新しい靴を買う理由。それはもちろん、人それぞれ。
シンプルにカッコいい、カワイイから。仕事や行事で必要だから。好きなものとのコララボアイテムだったから。誰かへのプレゼントのため。履ける靴が一足もなくなってしまったから。などなど、人は何かしらの理由で新しく靴を買うものだ。
自分自身、様々な理由、動機で靴を買うことがあるが、数年に1〜2回くらいの頻度で、楽しみにしていた映画が公開されるからという理由で、新しく靴を買うことがある。
この理由で靴を買うのは、数年に1回程度なので、自分でもなぜ買ってしまうのか。ちゃんと考えたことがなかったが、改めて思うと、いくつかの要因によって、映画の公開が靴の購買意欲へと繋がるのかがわかった。
一つは、公開されるのが楽しみで、待ちきれない気持ちを紛らわすために、物欲という別の欲求を満たしているのだと思う。
だから、無意識のうちに、映画の公開日や配信日付近では、靴以外にも何かしらを買ってしまっているような気がする。
このことに気づいてしまったので、これからは、本当に欲しいもの以外の、物欲を満たすためだけの買い物はなるべく控えるようにして、スニーカーの靴紐をギュッと結ぶように、財布の紐もキツく結びたいところではある。
次に、せっかく楽しみにしていた映画を観るのだから、正装とは言わないが、できるだけ綺麗でまっさらな靴を履いていたいという気持ちがあるのだと思う。
ただ観に行くだけなのだが、心のどこかで真摯に向き合いたいという思いがあるのかもしれない。
また、靴だけでなく、映画を観に行く上での服装、ファッションにも多少は気を遣っている。
さすがに、楽しみだからといって、その作品のコスプレをする勇気はまだないが、なんとなく、自分の中でのその作品のイメージっぽい格好をすることはある。
例えば、ジョン・ウィックを観に行く時は、スーツは着ないまでも、ジャケットは着たり、アニメ作品を観る時は、その作品のTシャツを着たり、などなど。
自分の中のタブーとしては、観る作品と競合するようなアイテムは身につけないということだ。
マーベル作品を観るのに、バットマンのTシャツは着て行かないということ。
過去に、何も考えないで仮面ライダーの映画を観に行った際、向かう途中で自分がウルトラマンのTシャツを着ていることに気づいた時は、なんだか不貞行為をしているような気分になったことがある。
そして、最後にもう一つ、映画を観に行く前に新しい靴を買ってしまう要因として考えられるのは、ただただ浮かれているからだろう。
恥ずかしい限りだが、結果、これに尽きるはずだ。
映画館という、日常の中にある、非日常の世界へと連れて行ってくれる場所に行くのだから、少しでも気持ちを昂らせ、足取りを軽くするためには、新品の靴が最適なのだ。
ここまで、映画館へ向かう靴や服装のことを書いてきたが、毎度、ここまでの格好はしない。
出かけている時の空いた時間に、ふらっと観に行く映画も好きだ。
その場合、自分の中の映画館ファッションのタブーに触れてしまうこともあるが、いざ上映が始まると、そんなものは関係ない。
そんなこともわかっているが、前々から楽しみにしていた映画を観に行くのなら、できるなら、精一杯のオシャレをして行きたい。
誰かと行く映画館デートではなく、一人だとしても、映画館に行くということ自体が、ある意味デートなのかもしれない。
今度映画を観に行く時は、何を観るよりか前に、あえて、先に新しい靴を買ってみよう。
その新品の靴を履いて自宅の扉を開ける時、その瞬間から、映画の幕は上がっているのかもしれない。
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