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外注するのは大変だ。だからこそ「外注して良かった」と本気で思ってもらいたい
「いま契約しているところが、うまくワークしていない気がして、それで切替を検討してるんです」
弊社へお問い合わせをいただく方の中には、このようなお悩みをお持ちの方が少なからずいらっしゃいます。
切替先として弊社へご期待いただいているのはありがたいな、と思う反面で、同業として気になることもあります。
「きっと、苦労して今の外注先と関係を作ってきたはずなのに、なぜ、うまくいかなかったのだろう」と。
ワカルク代表・石川沙絵子へのロング・インタビューシリーズ。ワカルクのルーツでもある石川個人の人生観・仕事観や、ワカルクという会社に込められた想いなどを全6話でご紹介します。
「外注する」って、けっこう大変
外注、と聞くと「お任せできて楽になる」というイメージを抱きますが、そんな印象とは裏腹に、外注する側にとっては大変なことだと私は思っています。
なぜなら、「仕事の指示を出すこと」がそもそも難しいからです。
私は社長という立場上、仕事で誰かに指示を出す機会は多い方だと思うのですが、どう指示を出すべきかいつも悩みます。
「いい感じにやっておいて」で仕事が進めば楽ですが、現実はそう甘くはありません。雑な指示では仕事がうまく進まず、かといって、こと細かに指示を出していたのでは手間がかかりすぎてしまいます。
最近は“ChatGPT”などのAIが話題ですが、「AIにうまく命令を伝えられる人は、人に指示を伝えるのもうまい」という話も耳にします。
結局のところ、相手が社内のメンバーであっても、外注先であっても、そしてAIであったとしても、指示を出すことのわずらわしさは本質的に変わらないのでしょう。
本当は「察する」ことができたら
終身雇用制だった時代には、同じメンバーが一つの組織で働き続けることが当たり前でした。長い年月をかけて積み重ねた経験と人間関係が下地にあって、
「部長はせっかちだから、完成度を上げるより、早く提出する方が喜ぶな」
「○○さんは経費申請がいつもギリギリだから、少し前にリマインドしてあげようか」
というように察することができていたのだと思います。
しかし、今は「一度も転職をしない人」の方が珍しい時代です。「察する」ことが可能な関係性ができあがる前に、メンバーはどんどん入れ替わってしまいます。
ましてや人手不足で「猫の手も借りたい」状況なのですから、正社員の長期雇用にこだわっていることもできません。
複業人材でも、外注サービスでも、AIでも、使える「手」は何でも使わねば、仕事が回らないのです。
外の人間だけど、「同じチームのメンバー」でありたい
だからこそ、今の時代に私たちのようなBPOサービスの会社は存在価値があると思っていますし、たとえ立場は「社外の人」だとしても、心は「同じチームのメンバー」でありたいと願っています。
「察する」ことは難しいかもしれませんが、「察しよう」という気持ちでお客様との関係を築くことが、仕事を前に進めるために一番大切なことではないかと思います。
もちろん、それは「仲良しこよしであればいい」ということではありません。ビジネスとしての緊張感は保ちながら、良い仕事をし、それをベースに良い関係を築くことが大切だと思います。
外注さんと「良い仕事」をするための6つのコツ
私はお客様から仕事を「頼まれる立場」であり、一方で、社内のメンバーや外注のパートナーさんへ仕事を「頼む立場」でもあります。
両方の経験をもとに、これまでお客様から質問いただくことが多かったこと、そして、私たち自身が工夫していることについて、Q&A形式で6つにまとめてみました。
Q1. 契約の時点で、どんな仕事をお願いするかが具体的に決まっていなくても大丈夫?
A1. 何か一つ、具体的に「この業務を頼みたい」というものがあると、スタートがスムーズです。
まったく何もない状態だと、「頼めるお仕事を考えます」からなかなか先に進まず、「キックオフ・ミーティングはやったけど、最初の1か月がそれきりで終わってしまった」ということになりかねません。
「請求書の発行」でも「会議の議事録を作る」でも何でもいいので、何か一つでも具体的に頼めそうな業務があると、スムーズなスタートを切ることができます。
具体的な作業に取り組むことで、そこからお客様の様子が見えてくることもありますし、業務の理解を深めることにもつながります。
最近は「外部パートナーと一緒に仕事をすることに慣れている」という方も増えてきましたが、「初めてなので、何から頼めば良いのか分からない」という方も、もちろんいらっしゃいます。
ただ、そのようなお客様の場合でも、ご契約前のヒアリングやキックオフ・ミーティングでお話をする中で 「具体的に、これがお願いできそう」というものが見えてくるということが多いです。
Q2. 業務を依頼するときには、マニュアルなどをちゃんと準備しなければならない?
A2. 書面できっちり整備されていなくても大丈夫です。
もちろんご用意いただけることに越したことはありませんが、書面としてきっちり整理されていなくても、既存の資料を共有いただいたり、実際の操作画面をミーティングで見せていただく、などでも大丈夫です。
これは、マジメなお客様ほどハマってしまう罠なのですが、「ちゃんと準備をしなければ…」と気合を入れ過ぎ、かえってご自分の業務を圧迫してしまう、というケースもあります。
ルーティンで回している業務ほど無意識に処理していることが多いので、それを他人が理解できる形にアウトプットするのは意外とたいへんです。また、「自分で処理する」のと「他人に処理してもらう」のとでは作業の前提が大きく異なるため、事前にマニュアルを作ろうと思っても限界があります。
まずは業務をご依頼いただき、実際にやってみて、不明点をこちらから質問させていただく。そうすることで
「他の人にとっては、ここで引っかかるのか」
「一人では問題なかった部分も、複数人で回すには変えた方が良さそう」
という気付きが生まれることも多いのです。
Q3. 指示をうまく伝えるためのコツはある?
A.その作業をやる目的や、依頼の背景をセットで伝えてもらうと、よりスムーズです。
たとえば、「プレゼン資料作ってください」よりも
「住宅業界向けのセミナーで使うので、プレゼン資料を作ってください」
と言っていただける方が、ご依頼の背景もふまえて業務にあたれます。
また、納期をご調整いただく際には、「このプレゼン資料を3月中に作れますか」よりも
「このプレゼン資料を4月15日のセミナーで使うが、事務局への提出期限が1週間前なので、直しの時間を考えると3月中に作れますか」
というように、作業単体の期限だけでなくプロジェクト全体のスケジュール感も共有いただけると、それを踏まえた調整やご提案がしやすくなります。
社内のメンバーと社外にいるメンバーとの間では、必ず「情報格差」が発生しますので、その前提でコミュニケーションするのが良いのではないかと思います。
たとえば「今期の売上目標が1億円」だったとしましょう。社内にいれば、
上司から、会議で目標設定の背景説明を受ける
社長から、朝礼で「目標の先にどのような未来を描いているのか」を聞く
同僚と、目標達成のための計画を立てる
というように、さまざまな角度から、じわじわと目標が体へ染みこんでいきます。
しかし、社外にいるメンバーの場合、目標自体はメッセージや資料で共有できたとしても、その背景や文脈を伝える機会は限られるので、そこにはどうしても差が生じてしまいます。
これは、情報格差が発生することが悪い、というよりも、立ち位置の違いで否応なしに発生してしまうものだと言えるでしょう。
ですから、あらかじめ「社内と社外のメンバーでは、情報格差がある」という前提に立って、「What:何の作業を」「How:どうやるのか」だけでなく、
Why:なぜ(どんな目的で)やるのか
を伝えることが重要だと思っています。
Q4. 稼働時間をミーティングに使うのがもったいなく感じるが、テキスト・コミュニケーションだけでは足りない?
A4. 特に最初の段階では、できれば毎週 or 隔週で定例ミーティングを設定するのが良いと思います。
私たちのような「オンラインのBPOサービス」の場合、「ひと月あたり○○時間を稼働」という契約を結ぶことが多いので、「ミーティングで時間を消費するのはもったいない」と思われるかもしれません。
ただ、やはりミーティングで「顔を見て声を聞くこと」には大きな意味があると思っています。
テキストでも仕事の表面の情報は伝わりますが、話しているときのちょっとした表情やしぐさ、声のトーンなどから
「この話は、今回の業務で重要な部分かな」
「もしかして今、たいへんな状況なのかな」
…と、仕事の背景にある情報を想像できることがあります。
また、情報を伝えるためには「頭の中で考えているもの」を言語化しなければなりませんが、同じ言語化でも「文章にする」より「言葉に出す」方がはるかに簡単ですし、話しながら頭の中の整理が進むことも多いものです。
まずは「ミーティングで言葉に出してみる」ことが、情報を伝えていただく第一歩として良いのではないかと思っています。
Q5. 業務に慣れてもらうのに、どれくらいの期間が必要?
A5. 業務にもよりますが、一つの業務を2〜3周回してみると勘所がつかめてきます。
たとえば、「月次決算のご支援」であれば、最初の月は今までのやり方をそのままトレースする形ですが、2か月目・3か月目と回していくと「あ、ここはもう少し工夫できるかも」という部分が見えてくる、といった具合です。
ただ、「慣れるまで待っていなければいけないのか」というと、そこは緊張感を持って取り組むべきだと思っています。
新規採用と違い、外注を利用するメリットの一つは「立ち上がりが早いこと」です。
もちろん、初めてのご契約の際には教えていただかねばならないことも多いですが、業務に必要な基礎知識やITツールの使い方などは、ゼロからハンズオンいただく必要はありません。
そして、ただ「教えてもらう」のではなく、過去にいろいろなお客様のご支援をしてきた経験を生かし、「教えてもらった上で、改善は私たちがやる」というスタンスを大切にしたいと、私は思っています。
Q6. 評価やフィードバックはどう伝えると、いい仕事につなげられる?
A6. 「やってもらって良かった」というメッセージは、私たちの何よりの力になります。
マネジメントにおいて「褒めて伸ばすか、叱って伸ばすか」は永遠のテーマですが、感謝のメッセージをいただけることは純粋に嬉しいですし、「よし、次もがんばろう」というモチベーションにもなります。
一方で、「もっとこうしてほしい」ということも、率直に伝えてほしいと思っています。
せっかくご契約いただいたのに、「言わなかったが、実はこうして欲しかった」という状態は非常にもったいないです。
ビジネスである以上は、良い仕事があってこそ良い関係を築くことができると思いますので、そこは厳正なご評価をいただければと考えています。
お客様に「外注して良かった」と思ってもらえるサービスを作りたい
少しポジション・トークが入ってしまいますが、市場における「BPOサービスへの期待感」は確実に上がっていると思います。
民間調査会社のリサーチ*によれば、BPO市場の規模は2021年の時点で4.5兆円あり、3年後の2026年には5兆円を突破すると予測されています。
*参照元: BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2022年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
その背景には、少子高齢化による従来からの人手不足と、コロナ禍の反動による急激な需要の戻りが重なり、少ない人材をさらに奪い合う形になっている、という状況があります。
これだけ大きな市場のニーズがあり、そこには、日々の業務の現場で困っている人たちがいる。
私はBPOサービスの会社を経営する者として、「外注して良かった」とお客様が感じてくださるようなサービスを作りたいと、本気で思っています。
ワカルクをご利用いただくことで、お客様にとっては以下のようなメリットがあります。
ヒト:基本的なビジネスマナーやITリテラシの教育が不要で、立ち上がりが早い
モノ:オンラインのBPOサービスなら、デスクやPCなどの準備が不要
カネ:研修費、福利厚生費などがかからない
情報:複数企業の支援により蓄積されたノウハウを活用できる
私たちは、良い仕事で人と人をつなぎ少しでも多くの人たちに幸せを届けられることを、これからも目指していきます。
もし、社外のパートナーをお探しの企業様がいらっしゃいましたら、ぜひご相談いただけますと幸いです。
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