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ブスと美人の市場価値は実際どのくらい違うのか

「ブスには人権がない」

そんな極端な信念を抱く女性が、最近ますます増えているようだ。

たとえば美容整形である。整形市場の規模は拡大の一途を辿っており、2009年には2500億円ほどだった市場規模がわずか10年後の2019年には4080億円にまで膨れ上がっている。近頃は小中学生すらプチ整形に手を出すなど顧客の低年齢化も進んでおり、「美人には無限の価値があり、ブスにはなんの価値もない」というルッキズム的価値観はますます広がり続けているようだ。

こうしたルッキズム容姿至上主義を最も強く内面化しているのは、間違いなく性風俗産業などのナイトワークに就く女性たちだろう。「鬼出勤」を重ねて高所得を得ようとする夜職たちの稼得動機は、第一にホストなどの男遊びであり、第二に美容整形である。これはもう10年以上前から変わらないナイトレジャー業界の「暗黙の了解」と言ってよい。

彼女たちは毎日休む間もなく身体を売り続け、ハード売春ワークの果てに溜め込んだ貯金をつぎ込み、「ブス」というスティグマから逃れようと必死にもがき続ける。美容整形につぎ込んだ額が数千万円を超えるという事例も珍しくない。さらに言えば、手術の後遺症で顔面に麻痺が残り唇やアゴ周辺の感覚がなくなってしまう…というのもよく耳にするケースだ。

そうした「フルタイム売春→美容整形」のサイクルを重ねる中で、哀しいことに多くの女性はルッキズムをさらに内面化していく。多くの犠牲を、つまりはサンクコストを支払って手に入れた美貌なのだから当然だろう。苦しい受験勉強の果てに立派な学歴を得た人々が低学歴者を見下しがちなように、苦しみながら美容整形を経て美しさを手にした女たちも多くは自らが苦しんでいたはずのルッキズムを再生産する側に回っていく。

「ブスは無価値」という価値観に傷つけられ、フルタイム売春の果てに美容整形を重ねる生活に至った人々が、「ブスは無価値」という価値観の最も熱烈な信奉者になっていくのだ。まるで後味の悪い寓話のような話である。

しかし、である。

こうしたルッキズム的価値観はほんとうに真実なのだろうか?

「ブスに人権はない」と語る女性はあまりに多い。こうした価値観はセックスワーカーの特殊な世界を超えて若い世代にまで浸透しつつある。ブスは悲惨な人生を歩むと多くの女性が確信しているし、逆に美人になれば全てを手に入れられるとも素朴に信奉している。

はっきりと断言しよう。ブスと美人の価値に大きな開きはない。ブスであれ性的価値は十二分にあるし、多くの人の直感には反するだろうが、飛び抜けた美人であっても性的価値はブスと比べさほど高くならないのだ。

本稿は「ブスと美人の市場価値」について様々なデータを参照しながら分析しつつ、「ブスに人権がない」というカルト信仰の根源について考察していく。


末端価格から計測するブスと美人の市場価値

「人間の価値は容姿によって左右される」という価値観は、当然のことながら女性の性的価値を念頭に置いて語られることが多い。

美人は権力者や富裕層から持て囃され、知人友人も同じような美人・イケメンや成功者ばかりが集まり、恋愛においては最高の恋人を捕まえ進学や就職においても成功しやすく、私生活においてもキャリア形成においてもブスとは比べ物にならないほど有利な人生を歩む──。これが基本的なルッキズム的価値観の<物語>だ。

しかし、実際のところはどうなのか。女性の性的価値が最もダイレクトに作用するのは言うまでもなく性風俗産業である。この領域においては女性の性格や知性やキャリアなどの内面的要素はほぼ意味をなさない。無論パーソナリティは接客態度などにも関係するのでそれなりの差は出るわけだが、あらゆる産業において最も容姿レベルが強力に作用する業界であることは疑いようがないだろう。

では実際のところ性風俗産業においてブスと美人の価値はどの程度差が出るのか。ありがたいことに性風俗産業には「レベルの低さ日本一」を誇る超有名店がある。そう、ご存じ鶯谷デッドボールだ。

引用:鶯谷デッドボール公式HP

店の宣伝文句からして凄い。

風俗を止めたい方へ…
遊べば夫婦関係円満!
彼女の有難さ倍増!

である。もはや風俗店をお化け屋敷か何かと勘違いしているのではないかとツッコミたくなるが、巧みなマーケティングと価格の安さで2009年の開業から順風満帆な経営を誇り全国に支店を出すまでに至った性風俗産業の風雲児である。

「これは罰ゲームとかで使う店でヌキ目的で使う人いないんじゃないの?」と思ったあなた、大ハズレである。デッドボールの経営者は「なぜ地雷専門店は成功したのか?」というビジネス書を出しているが、本書によると顧客のほとんどは普通に射精目的で来店するらしい。つまり「レベルの低さ日本一」を誇りあえてブスを選択的に集めることで低価格化を実現した鶯谷デッドボールのキャストでさえ、十分な性的価値は有しており男たちは金を払って彼女たちを求めに来るのだ。

ちなみに鶯谷デッドボールのキャストはだいたいこんな感じである。

引用:「鶯谷デッドボール」公式HP

年齢49歳、スリーサイズB.130(H) W.140 H.142という数字はこの店でしかお目にかかれない数字だろう。「ONE PIECE」のボスキャラのようなスリーサイズを持つ香田嬢だが、驚くべきことに退勤時間の3時間前にはご予約満了で既に予約できない状態である。HPを見て頂くとわかるが個性的すぎるほどに個性的なキャストらはごく普通に予約を集めており、シティヘブン(風俗店の予約専門サイト)などを見ても出勤に対する待機(客がつかない状態)率はそこまで高くない。

そんな鶯谷デッドボールの価格はどれほどなのか。キャストのランクによって多少の開きもあるが最も平均的なレギュラー価格で

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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