男女の「友達格差」はなぜ生じるのか
なかなか興味深い話題がバズっていたので紹介したい。「男性の友人関係」に関して、グレイソンペリー(英国の芸術家。女装家としての側面も持ちジェンダーに関する著作がある)を引いて解説する一連のツイートだ。
「男性のつらさ」問題が珍しく万バズを引き起こしていると思ったら、典型的な「男性学」ロジックが展開されていて真顔になってしまった。
上掲の主張は「男性のつらさは男性規範によって形作られる」という「男性学」の主張そのままの焼き写しだ。男性学の説くところによれば、男性はマッチョイズムや競争至上主義や異性獲得至上主義といった男性規範を深く内面化しており、そのため女性のような「健全な友人関係」を築けないのだという。
ゆえに「男性のつらさ」を解消するためには、男性自身が男性規範と戦わなければならない(つまりフェミニストにならなければならない)のだ。これは男性学における基本的なロジックとなっている。
さて、お題目はそこまでにして事実はどうなっているのだろう。
「男性は友人の必要性に気付いていない」
「男性が誰かと仲良くなれるのは仕事かセックスを介してのみ」
といった主張は事実に基づいているのだろうか。
本稿では男性学の基本理論を、統計的事実から検証していく。
男女で友情の形に違いはあるか
女性の何倍もの数の男性が孤独で自殺する。男の友情の多くは同僚など社縁であり、実際は女性よりも(仕事の絡まない)友達は少ないし、その必要性に気づいていない。そして「男性が健全な関係の大切さに気づかないのは、そこにセックスが絡まないからだ」と
>グレイソンペリー『男らしさの終焉』
男性の孤独死は「男性が健全な関係の大切さに気づかない」からだという上掲の論理を検証するためには、「男性は女性より友達が少ない」「男性は仕事とセックスの絡まない友情を求めない」という前提の真偽について確認する必要がある。「男性は友人が少ない」という前提は果たして事実なのだろうか。
まずは若年期における傾向について確認してみよう。内閣府が行った「青少年の生活と意識に関する基本調査報告書(H12年)」によれば、10歳から24歳までの男女の「友達の数」は以下のようになっている。以下は「とても仲の良い友だちが何人くらいいますか」という質問に対する回答の集計だ。
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