「社会正義」は外国の権威に逆らえない
先月11月に発売され各方面で話題となっているヘレン・プラックローズとジェームズ・リンゼイの共著「社会正義はいつも正しい」が日本の出版界から「キャンセル」される憂き目に遭っている。
本書は英語圏のwokeismの思想的背景を批判的な立場から概説したもので、「キャンセルカルチャー」を始めとする社会正義フリークたちの蛮行がどのような<理論>に基づいているのかを丁寧に説明してくれる一冊なのだが、邦訳刊行から間もなくして本作そのものが「キャンセル」のやり玉にあげられるという皮肉な結末を迎えてしまった。
本書に書かれていることがまさにそのまま起こっているわけで、一読者としては驚愕を禁じ得ない。
今回炎上させられたのは、訳者である山形浩生氏の手による解説記事だ。
といっても記事自体は「社会正義はいつも正しい」の内容を日本人読者に向け平易にかみ砕いた無難な内容で、特筆すべき新奇性があるわけではない。興味のある方はweb archiveに全文が残っているのでそちらを参照してみると良いだろう。「社会正義はいつも正しい」の読者であれば、ほとんどが「単なるフツーの解説記事」という感想を抱くのではないだろうか。
にも関わらず、山形氏の解説は「トランスジェンダー差別」やら「デマ」やら「差別扇動」というレッテルを貼られ、ついには記事が削除され担当編集者が謝罪するまでの事態となってしまった。
それ自体が既に異常事態であるが、筆者としては書籍それ自体ではなく翻訳者が批判のやり玉に挙げられるというこの構造に「日本型ポリコレ教徒」の際立った知的低劣ぶりを感じるのである。
そう、日本の社会正義マンたちは「海外の権威」に逆らえないのだ。例えそれが
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