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なぜマッチングアプリで経歴詐称するクズ男には彼女ができるのか

というわけで本日もマシュマロ回答やっていきましょう。今回のご相談はこちら。

マッチングアプリで嘘の経歴を出した途端に女性とマッチするようになってしまったことについて相談したいです。

使用アプリは「Pairs」になります。彼女を作る目的ではじめたマッチングアプリなのですが、全く女性とマッチせずいい加減に嫌になっていたところ友人からの勧めで年収を盛りました。具体的に言うと本当の年収の1.5倍くらい盛っています。そうしてから一気に女性とマッチングするようになったのですが、「もし会ってからバレたらどうしよう」と考えてしまい誰とも実際には会えていません。こういう場合どうすれば良いのでしょうか。マッチングアプリで嘘の経歴をつくことについて小山さんのお考えを教えてください。

はい、「マチアプで年収盛るのってどうよ?」というご相談ですね。これね、非モテ傾向のある男性はこういう嘘つくのが苦手な人が多いのですごく抵抗感あるとは思うんですが、まずマッチングアプリでは大多数の人間が嘘をついているという前提を理解するところから始めましょう。

経済学的には「レモン市場」と言ったりするんですが、マッチングアプリというのは典型的な情報の非対称性が存在する市場なんですね。情報の非対称性がある市場とは何かというと、買い手が商品の品質を詳しく知ることができない市場を指します。ざっくりと、売り手が嘘をつきやすい市場と理解しておいてください。

嘘つき放題な市場では何が起こるかと言うと、あらゆる売り手が嘘をつきまくるようになるんです。「レモン市場」の概念で喩えとして用いられてるのはアメリカの中古車市場なんですが、日本だと新卒の就活市場とかの方がわかりやすいかもしれませんね。ほら、就活生はみんなガクチカを盛りまくるじゃないですか。「サークル代表でした!!」とか「ゼミ代表でした!!」って就活生の10人に8人くらいは言ってるでしょ。あれなんでみんな嘘つくかって言うと、企業の採用担当者側が学生の嘘を見抜くことができないから、つまり情報の非対称性があるからなんです。人事担当者はいちいち何百人もいる応募者の背景を洗い出せないですからね。なのでガクチカは「盛る」ことが当たり前になってしまう。

この「当たり前になってしまう」というのが重要です。つまりレモン市場では参加者の大多数が商品の価値を盛りはじめるわけです。就活でもそうですが、みんなが当たり前に「サークル代表でした!」「ゼミ代表でした!」と嘘をつきはじめる。そんな状況で自分だけ馬鹿正直に全く盛らずに勝負したらどうなるか。当然、不利になります。就活でもそういう誠実で要領の悪い学生は損しがちなんですが、マッチングアプリでも同様のことが起こるわけです。

というわけで、マッチングアプリではある程度プロフィールを盛るのが「定石」と心得ましょう。就活におけるガクチカと同じです。大いに盛ってください。年収を1.5倍に盛る程度ならまぁ丁度良い盛り具合ではないでしょうか。これで医者でもないのに「医者です!」とか年収200万円のフリーターなのに「年収2000万の外資系コンサルタントです!」とか言い出すと流石に盛り過ぎというか、ヤリモクなら良いけど長期的関係はキツいなとなるんですが、職種に嘘をつかず年収を多少盛る程度は丁度いい塩梅なのではないかと思います。心配なようなら盛り具合を1.2-1.3倍くらいに留めておきましょう。

ただ、そう言われてもあんまり気分は晴れないですよね。というのもあなたが不安なのは「プロフィールに嘘をついた上で相手と仲良くなった場合、嘘がバレたら全てが破綻してしまうのでは?」という心配があるからです。自分みたいなチンポ野郎に「いやマチアプじゃ定石よ定石!」とか言われても「そっか安心!」とはならないでしょう。誠実な方であればあるほどさらに不安が募ってしまうのではないかと思います。

しかし実際のところプロフィールに嘘をつくことが長期的な関係性を育む上で大きな障壁になるかと言うと、「ならない」という見方の方が妥当なのではないかと自分は考えています。そう考える根拠のひとつがホストのマッチングアプリ営業です。誠実な一般男性からするとちょっと信じられないと思うんですが、

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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