SNS時代の「いじめ」には空手もサッカーも通用しない
「男の子が生まれたら、空手や柔道などの格闘技をやらせたい」
そんな気持ちを抱いている男性は少なくないのではないだろうか。
特にいま30代から40代くらいの男性の子供時代は、お世辞に安全と安心が確約された環境とは言い難かった。1980年代のように校内にシンナーが蔓延し不良がバイクで廊下を走り回り…といったことは流石になかっただろうが、それでも「弱い男」は舐められるのが常であったし、男子同士の殴り合いの喧嘩も決して少なくなかった。
上掲のヨッピー氏もガラの悪い男子に理不尽に暴力を振るわれた経験などがあり、それが「子どもを野生児にしたい」という今の感情に繋がっているようである。1988年生まれの筆者も似たような経験があり、親の意向で塾ばかり行かされていた小学校時代は身体も弱く殴られることが多かったのだが、中学に入って柔道部に入りウェイトトレーニングをみっちりやったらそうした事態は一切なくなった。「男社会で自衛するためには暴力が必要になる」という主張は経験則としては頷ける部分が大きい。
しかし、である。
つい忘れがちだが、30-40代の我々が児童として生活していたのは遥か20-30年以上前のことである。当時の経験則を令和の時代にそのまま引き継いで良いものなのだろうか。我々の経験がとっくに古びてしまっている可能性も捨てきれない。
というわけで本稿では、近年の「いじめ」研究の成果を概観し、「現代ではどんな子供がいじめのターゲットになるのか」という問いに対して一定の答えを出すことを試みる。
調べてみて驚いたが、令和のいじめは昭和・平成のいじめと何もかも違ってきているようだ。キーワードは「流動性」と
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