バイトしながら(女子)大学院生やる

諸般の事情により、バイトをしつつ大学院生活を続けていく方法を本気で考えなければならない状況の大学院生もけっこういる時期なのではないでしょうか。ここでは、学振やその他充分な資金援助を受けずに、研究をしつつお金の問題に果敢に対処する方法について、この四年間試行錯誤した私なりに、気持ちの面と具体的方法の面から書いてみます。


私のケース

私は実家暮らしで、国公立大の博士課程に在籍しています。学部時代はありがたくも親が学費を出してくれていたので、学部までは奨学金を借りていません。というわけで、博士課程の学生の金銭状況としては比較的恵まれているほうにあると思います。

大学院進学以後は、M1からD2まで常時バイト3~5つかけもち+日本学生支援機構の奨学金(第一種)で、学費と研究費(書籍、出張費、機材費など)、生活費をまかなってきました。実家暮らしなので家賃や光熱費はかかっていませんが、実家暮らしの会社員の友だちが納めている額を参考に、それと同程度のお金を毎月実家に納めています。


考えるべきポイント

どういう考え方で、お金を使っていくのか、稼いでいくのかは、はじめによく考えるべきです。なし崩し的に日々を進めると、精神面の負担が大きいのです。

次のような点について、あらかじめよく考え、自分の心を決めておくと良いと思います。

① 博士課程修了後のライフプラン
結婚するのか、妊娠・出産は想定するか、研究者なのか民間企業への就職なのか、これらの点により、博士課程の間に奨学金をどれくらい使ってよいのかのあたりをつけられます。

② 大学院生の自分に許す生活水準
どの価格帯の化粧品や洋服を買うのか、友だちと遊びに行く頻度、趣味に割く割合など、お金の使い方には意識的であるべきです。特に20代後半にかかると、学部卒で民間企業に就職した友だちの出世が始まり、洋服の質や飲み会のお店の選定などに明らかな差がでるようになります。
このとき、会社員の友だちに合わせるのか、あくまで学生だからと清貧に過ごすのかは、心に決めたほうが精神衛生に良いです。工夫次第でどうにかできる部分も多いですが。

③ 研究へのエフォート
研究にどれくらいのエネルギーを注ぎましょうか。限られた時間とエネルギーの中で、研究をどのように位置づけるのかは常に点検して損はないです。
大学院生の本分は研究ではありますが、私はあくまでも生活あっての研究だと考えています。大学院に入ったころは、研究に対して部活や受験勉強のようなエネルギーの注ぎ方をしていましたが、それは一過性で短期間的なエネルギーの使い方だと気づき、最近はもっと持続的な研究のあり方を模索しています。いやまじで無理すると生理とかとまるから気をつけろよみんな!

④ 博士課程修了後の奨学金返済額
ここまでの①~③から導き出されるでしょう。
博士課程在学中に満額使い切るのが本来的な奨学金の使い方でしょうが、むしろ、想定する博士修了後の人生のあり方に合わせて慎重に使うべきなのではないかと私は考えています。

⑤ 一週間のうち、アルバイトに割く時間

①~④までを考えて足りない額が、アルバイトで稼ぎ出すべき金額です。


具体的な金策

① 日本学生支援機構の奨学金
日本の大学院生が奨学金を獲得しようと考えたとき、ほとんどは日本学生支援機構の奨学金を借りることになるでしょう。日本学生支援機構の奨学金は返還義務があるので、正しくは学生ローンと呼ぶべきであるとは思うんですが......。

修士でも博士でも修了時に奨学金返還免除に採用される可能性があります(博士は一部が在学中に返還免除に内定します)。返還免除の採用基準は大学にもよりますが、べらぼうに難しいというわけでもないので、とにかく着実に研究して業績を出すのがよいです。

それと並行して、返還不要の給付型奨学金にも応募しましょう。大学のお知らせをこまめにチェックし、応募可能なものを早めに把握しておく。奨学金はどこも同じような内容を求めてくるので、研究内容や計画はある程度の分量のひな型を用意し、さまざまな申請書に応用可能な準備をしておくとよいです。学振の申請書を書く場合にも役立ちます。ただし、給付型奨学金はかなり狭き門なので期待しすぎないのが吉でしょう。


② アルバイト
ここ数年、研究と並行させてバイトをやってみて、私は次の項目を満たすバイトだといろんな意味で都合よいなと思っています。

(1) やること決まってる
クリエイティブな仕事に割ける頭の領域は狭いようで、プロジェクトを構想して長期的に進めるようなバイトは、研究かバイトのどっちかがひどくダメージを受けます。
クリエイティブな仕事ではなく、飛んできたボールを打ち返すような、決まった仕事を決まった仕方でこなすバイトがやりやすいです。

(2) 労働時間分の給料が出る
大学院生だと、家庭教師や塾講師など教育系のバイトをしている人が多いですが、こうしたバイトは時間外労働が案外多く、実質の時給はそんなに高くない、ということがあります。見極めが大事です。

(3) 民間就職の際に職歴として使える
不安定な大学院生のキャリアですから、職歴がすこしでもあると安心です。特に事務の職歴があるとつぶしが効きます。indeedなどで検索するとわかりますが、時給制の事務のバイトというのは案外多いですし、時給も悪くないです。

私は、個人契約の家庭教師や大学研究室の事務などをやっています。特に大学研究室の事務は、当然ながら雇う側にも研究への理解がありますし、お客さん相手ではないだけ精神的に大きい負担になるような仕事が少ない(PIにもよると思いますが)ので、おすすめです。コアタイムの関係で夜間しか仕事ができないという人も多いだろうし、参考程度ですが......。


そんなこんなで書いてきましたが、全体的に当たり前体操と言うか、目新しい特効薬はありませんね。まあほんとに大学院生の経済状況の厳しさ、ほんとにどうにかしてくれ~~~~というのが本音です。私もできる範囲で陳情したり働きかけたりしているのですが、こんな個人の努力で成り立っている研究業界はほんま......ほんまに..........

DC1、DC2と不採用Aをくらって、はあ~ってなっていたのですが、ついに、三度目の正直をいただいたので、4月からは私史上初めて研究に集中できることになりそうです。とても楽しみです。

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