隔離ホテル③

前代未聞の、帰国時夫婦共々コロナ陽性発覚。隔離中の8日間はあっという間だった。毎食の弁当は充実していたし、毎日プログラムに沿ってやることをこなし、冬季オリンピックの主要なスポーツ観戦ができた。奥さんには申し訳ないが一人の時間を満喫させてもらった。1日に一回3時間限定で運動タイムがある。その時間帯だけ廊下で運動できるのだ。毎日決まった時間に廊下に出て奥さんと落ち合い、廊下の端から端まで歩く。かるーく3往復。毎日廊下をドタドタ走っている外国人男性、子供二人連れて廊下を散歩している家族、会うと挨拶をする。なんだかホッとする。ここにはコロナ陽性者しかいないのだ。
ある日部屋の外から「すみませーん」と聞こえた。ん?と思ったが、このコロナ陽性隔離ホテルで隣の部屋を訪ねてくる人などいないだろうと無視した。3秒後ドアをノックする音。確実に私の部屋への訪問者。恐る恐るドアを開けると、隣の部屋の陽性住人と思われる長髪イケメン男性がそこに。「弁当ゴミを廊下に出そうとしたら間違えて部屋を閉めてしまいましたー事務局に連絡してもらえませんかー」。早速事務局に電話、状況を伝える。隔離ホテル、なかなか楽しい。
そして出所日を迎えた。

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