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隔離ホテル①

別室に移された。係員の女性からいくつのかの確認があった。事実をそのまま伝える。頭の中は、検疫で待っているであろう犬と猫のことだけ。その係員に言った「犬と猫はどうなりますか」。係員も事態をよく飲み込めていないらしく曖昧な返答をしたが、数回説明してやっと腹落ちらしく検疫に掛け合ってくれた。いずれにせよ、我々夫婦が陽性なので隔離ホテルに直行せざるを得なく、犬と猫に会えないのは確定。保護者不在のそれらがなんとかなる方法は一つだけ。帰国する前に手配してあったハイヤーに犬と猫だけでも乗車できるかどうか。乗車できて実家まで運んでもらえば、そこにはお世話してくれであろう人たちがいる。

我々は成田空港近くの隔離施設に行くらしい。場所こそ近いものの、施設側の準備や専用バスの手配など下手したら2、3時間掛かる可能性があると説明があった。空港も別室となると寒い。いや疎外感がより体感温度を下げたのかもしれない。「そろそろ準備お願いします」係員から声が掛かった。待つこと30分強。随分と早く手配できたものだ。しかし肝心の検疫から連絡がない。訊いてみた。「大丈夫です。検疫がハイヤーまでワンチャンとネコちゃんを運んでくれるそうです」。訊かれる前に言ってくれよと思ったが、いやいや融通を利かせてくれただけでも感謝。ありがとうございます、と言って専用バス乗り場へ向かった。

困ったには困ったが、なんだか笑ってしまった。

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