能登半島地震における旅館の記録㊳
6月3日 6時31分 能登地方 震度5強
緊急地震速報が鳴る!揺れる!怖い!
6時40分 再び緊急地震速報が鳴る!
怖いけど家族が一緒にいる時間で良かった…。
あれか5ヶ月、本当にびっくりした。油断していたわけではないけど、あのアラーム音を聞いたら体が硬直してしまった。社長はすぐに旅館へ。目立った被害は無かったが、次はどうなるか…。
5月23日 土嚢を乗せた台船が多田屋にやってくる!
とにかく、海に流れていく砂を食い止めなければ多田屋の海側はどんどん傾いてしまう。これから梅雨も始まり、雨が多くなってくると砂の流出は避けられない。建物が傾く…。本当に怖い事だ。
応急処置にはなるが、何かしないと大変な事になる。でもここまでくるにも数ヶ月。応急処置をして護岸の本格的な工事になるのはいつなのか…始まるのが数年後と言われている。護岸が復旧しないと各旅館の本格的な工事も始まらない。2025年秋にNEW多田屋オープンという予定がどんどん先になりそうで、上を向いて歩いているつもりが、頭が重くなり下を向いてしまう。これが現実か…。
私の所や旅館にもボランティアのお申し出が多々ある。本当にありがたいお話ばかりで何か協力して頂けないかと考えるのだが、まず旅館の復旧に関してはプロの業者さんが必要なのだ。海沿いの旅館という事や、大きな建物の崩壊の危険と隣り合わせの作業になるので、素人の私たちにはまったく手が出せない。その道のプロの方々とお知恵と力が欲しいのだ。ただ、社長も統括部長も和倉温泉全体も今回のような震災は想定外の出来事なので、みんな手探り状態でどこに何を頼むのか、どういう順序が正しいのか、何が正解なのかが分からないのである。スピード感を持って!というのは重々分かっているのだが…。そして若女将の私は本当に何もできない。
和倉温泉はいつ頃復興できそうですか?と言われても、最近は黙ってしまう…。スタッフもお客様も多田屋や和倉温泉、能登を愛してくれている方々がいつまで待ってくれるのか…。本当に復興出来るのか…。いかん、いかん、弱気になってはいかん。久々に社長である夫の気持や考えをインタビューしてみようと思う。
続く…