能登半島地震における旅館の記録㉑
2月の前半まで、息子は午前中は自宅でオンラインでの授業だった。オンライン授業はコロナの時から始めたものなので、小学生もタブレットを上手に使いこなす。私はオンラインが始まる前には旅館に行くので、オンライン授業がどのようにやっているのか、あまり知らなかった。
2月5日 オンライン授業が始まっても家にいたので先生の声が聞こえてきた。【今日は、仮設トイレの使い方について授業します!】授業が午前中だったのが、いよいよ終日になる為に学校に仮設トイレが設置されたのだ。我が息子は小学校5年生。保育園の時は和式トイレだった。ギリギリ和式トイレの使い方がわかる。ただ、息子より年下の子は和式トイレの使い方を知らない子もいる。【使い方が分からなくて失敗してしまうお友達もいるかもしれません!
その時は上級生らしく、優しい言葉をかけてあげて下さい。仮設トイレの所にはボランティアの方が必ずいるので、困ったお友達を見たら声をかけて下さい!】震災後、日々奮闘して下さる学校の先生方には頭が下がる。先生方も被災し家族がいるのに、寒い中外に出て子供達の登下校を見守ってくれている。
2月7日 そして1ヶ月振りの給食は牛乳とおにぎり2つとみかんクレープ。娘も息子もみんなで食べると美味しい!と言っていた。学校が始まって本当に良かったね!
先日、友人から多田屋セット買ったよ!と連絡が来た。震災後、本当にたくさんの方々から連絡を頂き、なかなかすぐに返事が出来なく申し訳ない気持ちである。ただ、このnoteを見て私や多田屋の近況を知ってくれていると思っている。日々、旅館業をしていて皆様の温かさを感じてはいたものの、震災後改めてこうやって皆さんからの応援メッセージを頂き、多田屋が愛されていた事を感じるとやはり再建に向けて頑張らなくては!と思える。
その友人の連絡には、お子さん達の動画が。お兄ちゃんは高校生??お嬢さんもママに似てすごく美人さんになっていた。人の子の成長は早いと言うけれど、あまりにも大きくなっていてびっくりした。小さい頃の多田屋の記憶がうっすらだとしても【また行くね~】という言葉に私は泣いた。子供達を出すのは卑怯だわ。泣くにきまってるよ。そして次の写真でまた泣く。ご両親が登場!これもずるい。あまりにも私が泣くので、息子が、【ママ泣かないで】と背中をトントントンとしてくれた。息子よ、母が泣く姿は滅多に見られないぞ。いや、最近結構泣いてるか。
1月16日 和倉温泉源泉が湧くニュースが入る
18:42 石川県能登地方 最大震度5弱
みんなで嬉しいニュースだね、と喜んだ矢先にまた地震。みんなで地震速報より自分達のほうが早く揺れを感知できる様になってるのではないかと話す。
1月17日 経済産業省の方が視察にいらっしゃる。今後の施策や制度設計に活かすための情報取集。この頃から、市や県を超えて国としての動きが出てくる。統括部長の得意分野なので、社長は統括部長にアテンドしてもらいながら頭を整理しつつ、各方面の方と話をする。
話は変わるが、1月4日に金沢から親友がお水をたくさん持って来てくれた。そう、お正月の初LINEで【お正月なんだから着物を着て下さいよ!】と言ってきた彼女だ。こんなに早く再会できるとは思わなかった。彼女は私が能登に来てから初めて出来た友人かもしれない。共通な趣味もあり彼女とは泊まりで出掛けたり、お酒を楽しんだりする仲だ。彼女は私の適当な返事をいつも丁寧に拾ってくれて話を広げてくれる。お互いに結構クールなタイプで、連絡もマメにはしない。その彼女と私は、4日に顔を合わせた時に思わずHUGをした。無言のHUG。お互いの安否を確認した時、とっさにあのような行動にでるのだと思った。皆さん、私は元気です。スタッフも元気です!皆様に再会出来た暁には是非、HUGをさせてください!
続く…