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能登半島地震における旅館の記録㉟

旅館の記録としてはじめたのに、なんだか最近は私の記録になっている…。それだけ、多田屋は復旧や復興に向けて進んでいるようで進んでいない。しかし、ここに来て少し前進した事もある!

4月29日 大浴場の漏水の確認
水が漏れないのは男性大浴場と男性の岩風呂と確認できる。施設スタッフも満水のお風呂を久しぶりに見て感動したと言っていた。

なんとか持ちこたえてくれてありがとう!

残念ながら女性大浴場は厳しい現実と向き合わなければならないかもしれない。あれだけ地面が下がっているのだから、無理もないか…。やはり壊さなくてはならないのか。私を忘れないでと言わんばかりに、女性大浴場の庭には美しいツツジの花が満開だった。自然の力は美しくたくましい。

50㎝下がっている地面

4月30日 ガス給湯器の工事完了 
支援者受け入れ予定の館のガス給湯器の工事の完了。試運転をしてみる。部屋が奥になればなるほど、お湯が出るまでの時間がかかる事がわかる。
でも、お湯が出るだけ有難い。支援者の方々にもご理解頂けるように私はいくらでも頭を下げるし、これから暑くなる時期だという事が少し救いになるかも。

一歩一歩です

5月1日 スタッフの日報
その日勤務したスタッフが必ず日報を書いてくれる。
私はその日報がとても楽しみで仕方がない。大体16時前後にUPされるのだが、どこにいても16時前後の時間はずっと携帯とにらめっこしている。
日報にはその日、旅館であった出来事や来客の報告などが詳細にUPされ、最後の締めの言葉にスタッフそれぞれの個性がとてもよく出ている。お互いを思いやる言葉がつづられていて、私はしびれる。

本日は涼しい日となり、寒暖差で体調を崩しそうになりますが、温かい美味しいものを食べて体力温存しましょう!!

それに応えるように、他のスタッフが我が家は温かい鶏団子鍋と今シーズン最後の栄養豊富な牡蠣御飯だよ!と写真とメッセージをUPしてくれた。
スタッフ同士が毎日繋がっているのを感じる。

皆に報告してくれた夕食の写真
おいしそ〜

5月2日 客室通路地下・女子大浴場配管修理
点検口から、何人もの大人が入っていく。狭く暗い地下。怖い生き物は出てこないのか?
私はじっと見ているだけ。自分達には未知の領域なので、職人技を持つ業者の方々にお願いしなくてはならないのだが、配管を復旧して欲しい以上に、事故なく安全に1日が終わる事を願うばかりである。

プロが集まっても
どうやって修理するか皆で悩んでいる
女性大浴場に水を溜めての調査 奇跡はあるか!?
むき出しになっている配管
たかが50㎝ されど50㎝

女性大浴場はやはり水が溜まらなかった。溢れた排水がボイラー室の地下ピットから流れてくる。やはり厳しい状況だ。でも調査が出来ただけで感謝しなければならない。水が出なければ調査すら出来ないし、結果を見て、今後の事を決めていかなければ先には進めないのだ。

5月5日 こどもの日 能登地方 最高気温30.2℃

きみたちの頑張りに励まされているよ!

あまりに暑いので、午前中からずっとサッカーの練習している子供達に社長と私はアイスの差し入れ。こどもの日だから特別だ。子供達は震災後さらにたくましくなった気がする。去年よりしっかり挨拶できるようになった。差し入れした社長と私に、ひとりずつ頭を下げて「ありがとうございます!」小学生のきみ達も、能登の復興には欠かせない大切な宝だからね。ケガをしないように頑張れ!

続く…


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