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わかおの日記317
土曜日はカレー屋。プチトマトのヘタを剥いて、水を張ったボウルに入れる作業をしていたら、それを隣で見ていた店長に「徳を積んでるみたいだね」と言われた。「全部剥いたら、鬼にボウルをひっくり返されて『もう一回!』って言われるんじゃないですか」と返したらウケていた。帰りに高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』を買って読んだ。ぼくの程度にも合わせてくれる易しい本で、なんとなくなにか書けそうな気がした。
日曜は朝から阿波踊りの練習で、高円寺も近いから頑張るぞと意気込んでいたものの調子が悪く、早々に糸が切れるしダメだった。三味線がうまく弾けないと、自分はこんなにも無力なのかと思った。阿波踊りの練習は休憩が長く、その間に誰かしらと会話しなくてはいけない空気があるのだが、それが苦手だ。そこまでして他人と話したくない。久々になんかそういうモードになった。
そのあとはるばる1時間半の大移動を経て、横浜スタジアムで野球を観た。電車に乗っているときに、目をこすったらコンタクトが変な外れ方をして、仕方がないのでもう片方のコンタクトも外してメガネをかけたのだが、まぶたの裏にコンタクトがはりついているような違和感がずっとあった。
佐藤輝明の鮮烈なホームランに球場が沸いているときも、二杯目のビールを飲みたくて、売り子のお姉さんに頑張ってコンタクトを試みているときも、ノーアウト満塁のチャンスで点が入らないつまらなさに舌打ちしているときも、ずっと左目の上が気になっていた。
残塁の多い試合で、くたびれながらスタジアムを後にした。何か食べてから帰るかという流れになって、「牛丼はどう?」と友達に提案した勢いのまま左目をこすると、試合が終わって満足したのか、コンタクトが出てきた。