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わかおの日記280
出席確認に返事をして早々に教室を立ち去り、田村くんとサイゼリアで今度やろうとしているポッドキャストの打ち合わせや小説の相談などをした。おかげさまで捗った。
彼女と飯を食ったり踊ったりしているときとか、こういうときしか楽しくない。楽しくないときに楽しい顔をできないから、東京には入れてもらえないのだろう。
座りながら話していても気が滅入るので、サイゼリアを出て虎ノ門のもうやんカレーまで歩き、カレーを食った後は東京駅まで歩いた。田村くんとはクネクネしながらずーっとおんなじ話をしているが、同じ話をしているうちにだんだん諦めがついてきて、目の前のことに前向きになってきた感じがする。
皇居沿いを右に曲がると、東京駅丸の内駅前広場までの道のりが続いている。東京駅にたどり着くためには、ウエディングフォトを撮影している無数のグループの間を縫って歩かなくてはならなかった。
こういう人たちを見ると、瞬間的に頭に血がのぼってしまう。こないだは卒業式でティアラをしている女子高生を見て、こいつらは遊んでただけなのにどこにティアラを貰える権利があるのだろうと発狂した。
丸の内の新婚は、みんな「私は幸せでたまりません」という顔をしていた。私は幸せで、しかも結婚して、これからもっと幸せになりますという顔を、知らない人たちに見せびらかして、知らない人たちもそれを好意的に見ていた。気持ち悪い空間だった。
本当に幸せなときに脳内麻薬がでまくって恥じらいがゼロになる現象は自分にも経験があって、それゆえに見ていられなかった。駅前の街灯を手で掴み「雨に唄えば」みたいなポーズをとる新婦がいて、お前それ地元の電柱でもおんなじことすんのかよと思った。
丸の内でウエディングフォトを撮ったという事実がほしい人たち。この中に本当に東京駅に思い入れのある人はどれくらいいるのだろうか。どうせ田舎者だろうと思った。