広島、長崎の平和宣言と「核抑止力」

2回の「原爆の日」からは少し日が経ってしまいいささか賞味期限切れの感もありますが、せめて8月中に上げてしまいたいと思い、内容的に中途半端な状態ではありますが記事として上げることにします。
被爆地の両市長によるいずれの平和宣言でも、我が国が核兵器禁止条約に批准していないことを批判し、速やかに締約国となることを求めています。そして本年の広島サミットで採択された「広島ビジョン」が、核抑止論を前提とする内容だったことを受けて、核抑止論は破綻しているという現状認識に基づき「広島ビジョン」に対する反発を表明しました。
現在、日本政府の対応はアメリカ、NATO諸国を中心とするいわゆる「西側同盟国」(東西冷戦が終わった今この言い方が適切か疑問ですし、範囲もあいまいですが)の一員として自分自身は核兵器を持たずとも、いわゆる「核の傘」の中で核抑止力に「守られた」状態を維持するという方針のようです。政府は公式に相手国名は明言はしていませんが、仮想的に核保有国である中国、ロシア、DPRK(北朝鮮)との対立を想定し、それらの国に核兵器を使用させないように抑止する体制を整えていると推測できます。
「広島ビジョン」では「究極の目標」として核のない世界を目指すとしながら、「安全が損なわれない形で、現実的で実践的な責任あるアプローチ」に関与することが確認されました。これは暗に「一方的に核兵器を放棄することは、無責任で実践的ではなく非現実的である」と言っているように読めます。
「ウクライナ戦争でロシアが核兵器の使用を検討している」という情報が、たとえ脅し文句でも複数のロシア政府や同国軍幹部の発言として伝わってきている現状だけでも、アメリカやその同盟国が「全ての核兵器を一方的に即時放棄する」というのが非現実的である根拠としては十分でしょう。
だからといって「核抑止論」に頼った場合、万一どこかの国が核兵器使用に踏み出した場合、最悪のシナリオとして「全面核戦争」あるいはそれに準ずる「核による報復合戦」に発展することが危惧されます。その場合、想像を絶する数の死者とその何倍もの傷病者が発生し、放射能による広範囲の範囲も想定されます。
核兵器禁止条約は締約国に「即刻全ての核兵器を廃棄する」ことを求めるものではありません。あくまでも「核兵器による抑止論」を抜け出し、実効ある核兵器廃絶に向けて着実に歩み出すことを公式に約束するもの、という理解です。問題は単純で無いことは理解した上で、唯一の戦争被爆国として、同盟国に先駆けて日本が締約国となる道は必ず拓き得るはずです。
今回もまとまりのない文章になってしまいましたが、ここまでで一応の区切りとして公開します。筆者自身にまだまだ勉強不足な点が多くある、ということは認識しています。

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