アートが自宅にこんにちは
最初、巨大なお餅だと思った。
赤い座布団に鎮座したお餅。
生物のような感じも受けるから、生き物がモチーフなのか?
なんとなく感じる重量感。
触って良いかもわからない。
お餅の後ろにあるのは、お餅と一緒に家でのんびりしている人々の写真。
ある写真ではスカーフを巻かれて、写真の家族と一緒に食卓を囲み、
ある写真では子ども3人の完全な遊具にされていた。
女の子が寄りかかる写真(※挿入画像)は、大きな謎のペットのような雰囲気を醸し出し
縁側でおばあちゃんの隣に置かれた写真は、近未来のお話介護ロボットを連想させた。
この子の正体は、貸し出されるアート作品だ。
公の場で見られるパブリックなエリア、家庭というプライベートなエリアを曖昧にしたい作者の意図が込められているという。
確かに、この場で見ると立派なアート作品に感じる。
実際わたしも触って良いか躊躇した。
でも写真をみたあと恐る恐る触ってみた。硬めのザラザラしたプラスチック。
家にあるハードのものって、玄関も、冷蔵庫も椅子も、ツルツルしているからか、確かに触っていたくなる触り心地だ。
小さい頃、タオルケットのボーダーの部分を人差し指の内側でサワサワすることが好きだった記憶が蘇ってきた。
タオルケットだからどこを触っても同じ感触のはずなのに、なぜか強いこだわりがあった。
この作品を迎えた家族の様子はさまざまだが、迎えた様子を写真に撮るということで、彼らも立派なアーティストとなる。
アーティストと、鑑賞者の境さえも曖昧にしている作品だった。
作品がおかれた座布団には100円がおそなえされていた。
その100円をおいた人とっては神様に見えたのかもしれない。
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UNMANED 無人駅の芸術祭/大井川
さとうりさ「サトコシガン」2021
2022年 現在〜3月21日まで開催中
https://2022.unmanned.jp
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