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運命のひと

あの子はいつも輝いていた。勉強も部活もいつも全力で、行事では率先して前にでる。側から見たら優等生、毎日が楽しそう。

わたしは学生の頃、勉強も部活も本気で頑張れるような子ではなかった。行事になれば、誰が見てもわかるくらいやる気がなかった。世間を少し冷めた目で見ていたのかもしれない。

一見、交わることのないように思えるわたしたち。でも、なんとなく仲が良かった。本当になんとなく。

あの子は、やる気がないわたしを責めるわけでもなく、ただ自分の道を突っ走っている。わたしがつまずいた時には、全てを抱きしめた上で、そっと手を差し伸べる。最善の言葉でわたしを奮い立たせる。この人となら、どこまでもいけるんじゃないか。そう思わせてくれる、わたしの運命のひと。

世間からは、優等生に見られていた彼女にも悩みはあった。むしろそんな風に思われていることが悩み、悩みがないように見えることもまた、悩みのひとつかもしれない。
わたしには感じたことのないトラウマや、プレッシャーを経験していることを知った。
彼女はどんな皮肉にも、笑顔ですり抜けるのが上手だった。

彼女が周りに見せない感情は、いったいどこにいっているんだろう。

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