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閉じられた「三年三組」

note「#読書の秋2020」企画に参加してみようとおもいます。
課題図書は綾辻行人氏著作『Another』をチョイス。

『十角館の殺人』をはじめて手に取ったのはいつのことになるだろうか。
クローズド・サークルものということで、心して取りかかったのはもちろんだが、もうひとつの仕掛けにまんまとはめられたことを思い出す。

クローズド・サークルというのは、登場人物が一箇所に集められ、誰もが出入りできない状況の中殺人が起こると、犯人はこの中にいるという作者からのメッセージとなる趣向の推理小説だ。

『Another』は本格推理小説ではないが、「夜見山北中学校三年三組」という器が一種のクローズド・サークルのように思える。

イレギュラーに転入してきた榊原恒一は「三年三組」にどこか違和感を持つようになる。
やがて、「三年三組」に関係する者たちが死んでいく。
「三年三組」に閉じ込められた生徒たちは、この厄災からどこからはじまり、どうやったら逃れることができるのかと思考を巡らせていく。

つまり、「犯人」は「三年三組」の中にいて、「三年三組」の中で「厄災」が起こるのだ。
「夜見山北中学校三年三組」はそれぞれの年代に存在はするけれど、ひとくくりにつながっている。

学校というのは不思議な空間で、七不思議とか内輪話だとかが伝統的に語り継がれていったりもして、『Another』はそれが具現化していったような、紙一重の恐怖をそこに感じる。

閉じられた「三年三組」には、おぞましく、ほのわびしい、ホラーのセオリーがつまっていた。

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