机上のビスキュイ(別立て法)

パータ・ビスキュイ(フランス語)とは、卵を卵白と卵黄に分け、卵白をしっかりと泡立ててメレンゲを作り、あとから卵黄を合わせるという方法で作った生地のこと。
流動性がないので型に入れなくても流れ出ず、絞り袋に入れて生地を絞り出して成形できる。

パータは生地、ビスキュイは2度焼くという意味があり、もともとは固い焼き菓子をさす言葉であったようだ。
なので、ビスキュイといったら指のように細長く絞り出したものや、丸く小さく絞り出したものをさすことがほとんど。

ムースやババロアの縁に並べて貼り付けるシャルロットや、エスプレッソをたっぷり染みこませて土台にするティラミス、クリームを挟むブッセ。
あるいは、焼き上がったときに隣同士が接着するように間を詰めて絞り出し、1枚のシート状に焼き上げてロールケーキにしたりと、いろんなお菓子に使われる。

ビスキュイ・フィンガー(ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール)

基本的にビスキュイ生地には油脂類を入れないということである。
油脂をくわえると卵の気泡が消えてしまうので、絞り出すには向いていないということだろう。
なので、材料はすごくシンプル。ほとんどのレシピが同じ配合だ。
ビスキュイの机上のレシピはこうなる。

 卵黄 1個分(Mサイズ約20g)
 卵白 1個分(Mサイズ約30g)
 グラニュー糖 30g
 薄力粉 30g

 粉糖 適量

卵は個体ごとに重量が違うので、正確に測りたいときは卵白の空量を計量し、それと同量の薄力粉とグラニュー糖を用意する。

卵黄は分量内のグラニュー糖1/3~1/2量くわえて白っぽくなるまで泡立てておく方法と、ただ割りほぐしておくだけでメレンゲに合わせていく方法があるが、シフォンケーキと異なって、小麦粉は卵黄と合わせておくのではなく、卵白と卵黄を合わせたあと、一番最後にあわせる。

このあと絞り出すので混ぜすぎて泡をつぶしてしまってはいけない。
共立てより別立ての方がはるかに泡立てるのは容易だが、行程としてはこちらの方がより繊細だ。

次に重要なのが適当に書かれているかのような「粉糖」である。
これを絞り出した生地に振ることによって、あの独特の、薄く膜が張ったような表面に仕上がる。
1度振って生地に馴染んだあと、2度振るのが良いようだ。
これだけ時間が経ってもへたれないメレンゲを作ることが自分に可能だろうか……。

ビスキュイを大きなケーキ形に焼く

繊細なビスキュイ生地を作るなんて自分には無理……!
そんな自信のないわたしに朗報だ。
1個1個絞り出して焼くというのではなく、大きくどーんと天板に盛って焼くスタイルもあるのだ。

口径2~3cmに切り落とした絞り袋に出来上がった生地を詰め、直径15cmほどに絞り出す。
あるいはもう直接ボールからヘラで丸く盛る。
いやいや、もう失敗して生地がだれて流れそうなときはセルクル型(底のない丸い金属製の型)に流し込む。

イメージとしては、どでかいシュークリーム形に焼き上げてしまう。
焼き上げたら中央を包丁で輪切りにして、クリームやカスタード、フルーツなどをはさんでいただく。
ほとんどスポンジケーキと同じように仕上がる。

材料はビスキュイ・フィンガーと同じでいいが、初めからこれを作るつもりなら、少し軽めの生地にした方が良いようである。

直径15cmくらいの丸形

 卵黄 2個分
 卵白 2個分
 薄力粉 50g
 グラニュー糖 50g

 粉糖 適量

より軽くしたいときは薄力粉の10~15%くらいをコーンスターチに置き換える。
ベーキングパウダーをいれるときは小さじ1/2程度。
上にクリームをデコレーションしなければ、粉糖を振る方が表情が出るし、乾燥しすぎずに焼き上がるのでよさそうだ。

別立てでスポンジケーキを作る

レシピ通りに作っているのに膨らまずに重たいスポンジになってしまう……。
そんな経験、ほとんどです(笑)
共立てが難しいのなら、別立てでスポンジを作るのも手だ。

材料は共立てとほとんど変わらない。
うまく焼くには気泡を消さないように、生地の一部を取り分け溶かしバターと合わせたあと全体と混ぜる、油分を少なくして牛乳と両方をくわえる、などの工夫が必要なようだ。
参考にしたレシピの数は少ないが、平均を算出してみた。

卵1個分に対して
 薄力粉 30.36g
 グラニュー糖 32.26g

 ●バターのみ 10g

 ★バター 5g
 ★牛乳 8g

まとめるとこうなる。

直径18cmの型で焼く別立てスポンジの机上のレシピ
 卵 3個
 薄力粉 90g
 グラニュー糖 90g
 バター 15g
 牛乳 大さじ1と1/3(24g)

 ※バターのみを使う場合 30g

別立てでロールケーキ用の生地を焼く

こちらは千差万別、レシピ考案者によって配合が様々で、平均的な値を出すのが難しい。
軽さを出すために極限まで粉の量を減らし、卵4個も使っているのに粉を45gしか入れてないレシピもあるのだ。

それでも平均値を出していきましょう。

卵1個分に対し
 薄力粉 18.84g
 グラニュー糖 25g

 バターのみ 10g

 牛乳のみ 11.15g

 食物油 5.8g
 牛乳 6.05g

調べたレシピではバターのみ、牛乳のみ、食物油と牛乳両方入れる、三者同じくらいの割合。
油分になにを使うか、粉の量が多いとか少ないとか、なんらかの傾向もないように感じた。考案者の好みの生地の硬さ、あるいは作りやすさ、ロールする中身との相性といったところか。
食物油と牛乳を入れるのはシフォンケーキに近いものがありますね。

それでは机上のレシピとしてまとめてみる。

一辺が25cm程度のシート状
 卵3個
 薄力粉  55g
 グラニュー糖 75g

 バターのみを使う場合 30g

 牛乳のみを使う場合 30g

 食物油 大さじ11/3(約18g)
 牛乳 大さじ1(約18g)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?